街全体の魅力度向上を目指して[三菱地所]

インタビューARCHIVE
本記事は2018年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.12で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.12|特集① イベントの力で企業価値を高める
地球環境や社会へより良い影響を与えるため、CSRやサステナビリティといった活動を推し進め、自社の価値向上を図る企業が増えている。自身の成長のため、私たちが内面を磨く努力をするように、企業もまた「私たちのより良い未来のため、必死になって取り組んでいるなんて素敵!」と応援したくなる会社を目指し、自分磨きをしているのだ。そこで本特集では、“企業の価値向上を目指す取り組み”のなかでもイベントを使用した事例を紹介する。イベントの根底にあるコンセプトに焦点を当て、企業の価値向上に、魅力ある企業づくりにつながるヒントをお届けしたい。

三菱地所は、学生作品による現代アート展「アートアワードトーキョー 丸の内」(a.a.t.m.)を2007年から開催している。オフィスビルや商業施設などの開発・運営を行う企業が、なぜアートイベントを主催しているのか。その仕掛けとイベントがもたらすメリットについて三菱地所・街ブランド推進部の谷村真志氏に話を聞いた。

「アートアワードトーキョー 丸の内」が三菱地所から生まれたワケ

―三菱地所はビル開発や運営が主な事業ですが、たくさんのイベントを開催しているようですね

イベントを開催する目的は3つあります。夏祭りや冬のイルミネーションなど、季節のイベントでエリアを盛り上げる「季節の賑わい創出」、オフィスビルが数多く存在する丸の内エリアにおいて、ビジネス面での賑わいにつなげる「ビジネスの充実」、街に深みを持たせ、文化面でも成熟を目指す「文化の充実」です。

これらの目的を意識しながら、ワーカーや街にやって来る人により注目される街にすることを目指しています。一つひとつのイベントを見ると、それぞれ内容は異なりますが、さまざまなイベントをトータルのラインナップで捉え、街全体の魅力度向上に取り組んでいます。アートアワードはこれらのうち「文化の充実」を果たすため、スタートしたものです。ちょうど2007年は新丸ビルがオープンしたばかりの時期で、より街に深みを持たせるような新しい文化イベントを増やしたいという想いもあり、誕生しました。

文化の充実だけでなく、街の長所を引き出し、エリアそのものに親しみを持ってもらえるよう、開かれた空間での展示を意識しています。行幸通りの地下ギャラリーや丸ビルのマルキューブなどの会場も使用し、エリアのあらゆる場所を芸術作品が彩るようイベントを構成しました。

―なぜプロのアーティストの作品ではなく学生の作品を展示しているのですか

ビジネスパーソン中心の街なので、若手アーティスト、特に学生の方の力を借りて、この街の活性化につなげたいという考えがあります。学生の方と話をしていると、就職活動をするまで丸の内に馴染みがなかったということをよく聞きます。このイベントを通じて、学生の時から「丸の内には活躍するチャンスがある」「丸の内は何だかおもしろそうな街だな」と認識してもらい、より幅広い層に注目してもらえるような街にしていきたいという狙いもあります。

イベントが企業にもたらすもの

―三菱地所にとっての「イベント」の役割を教えてください

不動産会社でいうと、所有する建物や施設などのいわゆるハード面が注目されがちですが、それらは頻繁に用途・内容を変更することは難しく、日々更新されていく多くの情報・活動を発信し続けるには限界があります。この弱点を補うことができるのがイベントというソフト面の取り組みだと考えています。当社は以前から街の魅力度向上・ブランド化を意識しており、イベントと施設、ソフトとハードの両輪から街の魅力をPRするため、ソフト面を専門的に担当する部署として現在私が所属する「街ブランド推進部」の前身を立ち上げました。そして現在もイベントをメディアとして活用し続けています。

―イベントを開催することに、どのようなメリットがありますか