イベント警備の重要性[全国警備業協会]

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本記事は2018年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.12で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック、そしてワールドマスターズゲームズ2021関西。立て続けに開かれる大規模イベントは、開催が近づくにつれ日に日に日本を盛り上げていく。しかし、光あるところに影もまた存在する。それがイベント現場で起こる事故や事件といったトラブルだ。今回、さまざまな事業を通じて警備業界の発展を支える全国警備業協会で、イベント警備について話を伺った。

イベントの安全、雑踏警備で確保

警備業務と一言でいってもその内容は多様だ。デパートのような商業施設の警備もあれば、国際会議などの場において要人を守護する身辺警護もある。イベントにおいては、警備業法上で2号業務に分類される、雑踏警備業務が主に参加者の安全を確保している。コンサートや花火大会、マラソン大会、夏祭りなどのイベントは、いずれも不特定多数の人々が集まる場所であり、人が混雑するため事故や事件が発生しやすい。そこで参加者に対し必要な情報を提供したり、規制、広報、案内、誘導といった適切な対応を行うことで、イベントにおける安全を確保するのだ。

群集心理を理解し、言葉を届ける

全国警備業協会で研修センター研修企画課の第一課長を務める板垣将司氏は、イベントにおける雑踏警備について「群集心理を理解することが重要です」と語る。例えばイベントで行列ができたとして、その列が1時間経とうが2時間経とうが一向に進まなかったとしよう。すると、並んでいる参加者は「何でこんなに遅いんだ」「この先で何かトラブルでもあったんじゃないだろうか」といったさまざまな疑念・憶測に囚われる。平時であれば何てことのない些細なストレスでも、そこに群衆が存在すれば話は別だ。「ちょっと肩がぶつかった」、「つい進入禁止の場所に入ってしまった」。そんな小さな綻びが連鎖して、取り返しのつかない事故や事件は生まれるのだ。

「雑踏警備ではトラブルを回避するため、単に現在の状況を広報するだけでなく、丁寧な言葉遣いと態度で相手にきちんと理解してもらうことが大切です」と板垣氏。どんなに大切なことを言っていても、態度や口調が攻撃的・高圧的であっては火に油を注ぎかねない。「警備業もサービス業であることを認識しなくてはなりません」。

警備計画書が最重要

しかしどんなに入念に準備をしても、優秀な警備員を数多く配置しても、トラブルを100%防ぐことは不可能だろう。では、事故や事件が起きてしまったらどうすれば良いのだろうか。まず重要なことが、事件や事故が起こると想定して事前に準備しておくことだ。特にイベントの主催者は関係者全員を集め、イベント開催地を事前視察し、警備計画を入念に練っておかなくてはならない。そして有事の際には警備計画書に従い、初期消火や避難誘導を適切に行うのだ。つまり、警備計画こそが「有事の対応」そのものであり、計画を立てている時点で警備活動は既に始まっていると言っても過言ではない。

板垣氏によると「イベントの警備は突き詰めるほどコストがかかりますが、イベントの主催者も警備に重きを置くようになってきています」とのこと。モノ消費からコト消費と謳われる昨今、イベントの重要性がますます増進していく中で、イベント警備を見つめなおす時期が訪れているのかもしれない。

板垣将司
全国警備業協会
研修センター研修企画課 第一課長