[自創空間+]ピコ・インターナショナル・大出 隆 氏

インタビュー
本記事は2022年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.27で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。
ピコ・インターナショナル 代表取締役社長 大出 隆 氏(おおいで・たかし)
Profile|たくさん海外に行って活躍できる国際的な仕事をしたいという思いから、立教大学英米文学科に進学。卒業後はエヴェレット汽船に就職し、後にピコ・インターナショナルに転職。1998年にイベントロジスティクスを専門にするフェアトランス・インターナショナルを設立。中国で2008年北京五輪などの仕事を手掛けた後、日本に戻り社長に就任。趣味はゴルフとテニス。座右の銘は「What’s next ?」。次に何ができるか、何をしなければいけないかを考え、常にチャレンジし続ける姿勢を重んじている。

海外で国際的な仕事がしたい 英語を学び外資系商船会社へ

高校生の頃、将来は海外にわたりさまざまな国の人と国際的な仕事がしたいと考えていて、外国人と交渉できる高い英語スキルを身に着けるため立教大学英米文学科に進学しました。大学卒業後は外資系の商船会社に就職。半年間の研修を得て、横浜の入出港を管理するポートオペレーションを担当することになったのですが、これがやってみると実に面白く、今の仕事に通じる私の原点となっています。

船のスケジュールを守るためには何曜日の何時までに出航すればコストパフォーマンスがいいか、そのためには荷物の積み下ろしにはどれだけの人員を割けば効率がいいかなど、常に全体を見て頭をフル回転させる必要があります。まさに毎日が真剣勝負。大学で培った英語力を振るう機会にも恵まれ、「こういう仕事がしたかったんだ!」と感動に打ち震えたものです。

一年後、営業部へ転属し、集荷営業担当となりました。そこで営業の基本を学んだのですが、付加価値をつけて価格を決めたり集荷するのではなく、値引き合戦の様相を呈していたのと、国際ビジネスとは感じられなかったことから転職を決意しました。その時に出会ったのがピコ・インターナショナルです。

展示会の世界で研鑽を積む日々 愛知万博を機に世界へ飛び出す

先進国でも途上国でも文字通り世界各国でブース設営を行い、NEC や富士通、三菱重工といった大企業を相手に仕事をしているピコ・インターナショナルは私の目にとても魅力的に映りました。展示会の会期に向けて「毎回真剣」に仕事を進める様は、かつてポートオペレーションで血を煮えたぎらせていた日々に通じるものがあったからです。

展示会の世界に飛び込んでからは、とにかく勉強の日々でした。まずブースを設営する上でデザインや素材、安全性や仕上げといった建築関係の知識を頭に叩き込まなくてはなりません。さらに展示会が扱う分野、それがエネルギーなのか工作機械なのか、通信なのか自動車なのかで必要な知識は自ずと異なってきます。私はあらゆる産業に触れられる仕事が楽しくて仕方ありませんでしたし、世界経済や日本企業の最先端技術を自ずと勉強することができました。

2005年には愛知万博の仕事を受注することができました。それまでにないスケールの仕事に私は夢中になり、その勢いのまま08年北京五輪、10年上海万博の仕事を取りに単身北京に向かいます。中国全般の日本企業を担当しながら人脈をフル活用し、何とか北京五輪の仕事受注まで漕ぎつけ、これをきっかけに後のバンクーバー五輪の受注にもつながりました。

一方、上海万博では、企業館で一番良かったという石油館のプランナーの一人でした。私は2008年日本に帰国し、この実績を評価され社長に就任しましたが、中国での挑戦が私を一回りも二回りも大きく成長させてくれたことは言うまでもありません。

一生のうち、自分が一番うまくできると思うことに挑み成功させることで自分の名札を貼れ

世界各国の展示会でブース設営の仕事をしていて感じたことは、展示品を扱うスペシャリストの不在でした。会場に輸送された展示品を動作確認し、適正な位置に設置し、完成させる。それを梱包から輸送とパッケージでサービスする会社が必要でした。特に途上国でもそれらができる会社として、フェアトランス・インターナショナルを20年以上も前に立ち上げ、今でも好評です。

2020年には東京五輪のアーチェリー会場を手がけました。タッグを組んだのは日本建設で、これも愛知万博をきっかけに育んだ縁があったからこそです。そして今、目の前には2025年大阪・関西万博という新しい大きな目標がそびえ立っています。社員にはさまざまなプロジェクトに携わって自分テイストを出し、自分の名札が貼ってあると言えるような仕事に挑戦してほしいと願っています。クリエイティビティをいろんな人と組むことでレベルアップしてゆき、その流れをどんどん加速させて、自己実現を果たしていって欲しいと思っています。