イベントにおける音響のこれからを思う[日本音響家協会・八板 賢二郎 氏]

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本記事は2017年5月29日発行の季刊誌『EventBiz』vol.7で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

コンサートやスポーツ、舞台や講演会などあらゆるイベントにおいて音は重要な役割を持つ。そしてより良い音、より場に相応しい音を観客に届けるため、音響家は常に試行錯誤を重ねてきた。今回、50年の長きにわたり音響の仕事に従事してきた日本音響家協会の会長である八板賢二郎氏に、音響の役割についてお話を伺うと共に、イベントにおける音響のこれからについて語っていただいた。

誰のため、何のためにメッセージを伝えるのか

―八板会長は50年以上音響家としてご活躍されてきましたが、ご自身から見たイベントにおける
音響の役割についてお聞かせください

音響の役割は、言葉や音楽の中に込められたメッセージを観客に正確に伝えることで、音響家は誰のため、何のためにそれらを伝えるのかということをしっかりと理解していなくてはなりません。その際、忘れてはならないのが観客一人ひとりに異なる条件があるということです。若い方もいれば高齢の方もいますし、男性がいれば女性もいます。高齢者のなかには大きい音が駄目という人もいるでしょうし、そもそも音を聞くのも嫌だという人さえいるかもしれません。大事なのは、そのイベントにどのような観客が来るかを事前に把握して適切な音を出すという点にあります。

―どのようにすればより多くの観客を満足させられますか

音に対する嗜好には様々なものがあり、それに対応できなければ観客全員を満足させることはできません。100%の満足が難しくても、せめて納得させる音を出せなくては音響家失格です。貴重なお金や時間を使って来ていただいている方に、「今日は本当に来て良かった」と言っていただくのが私たちの仕事なのですから。

優れた音響家になるには円滑なコミュニケーションが必要

―音響家に求められる資質とはどのようなものでしょうか