[イベントレポート]第3回横浜グローバル MICE フォーラム

レポート
本記事は2022年2月28日発行の季刊誌『EventBiz』vol.26で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

パシフィコ横浜と横浜市は1月27日に、「第3回横浜グローバル MICE フォーラム」を開催した。フォーラムは MICE の最新動向を学びながら、ビジネス効果拡大のヒントを得ることを目的に開催している。3回目となる今回は「Reimagining the Destination of Choice for Business Events ~選ばれる開催地であるために~」をテーマに、3つのセッションを展開。ハイブリッド形式で開催し、会場のパシフィコ横浜・ノースに101人、オンラインでは95人が参加した。フォーラムの模様をレポートするとともに講演者の発言をまとめる。

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はじめに主催者を代表してパシフィコ横浜の額田樹子代表取締役社長があいさつ。額田社長は昨年パシフィコ横浜が開業30周年を迎えたことから「開業当初からの理念、“人と人との交流の場を支える施設”のとおり、学術、文化、経済の発展に貢献できるよう努めてきた。2020年にノースが開業したことで魅力も加わった」と振り返り、DX の推進や安全安心・快適な体験提供で地域経済の発展に努めていくことを強調した。MICE のプロフェッショナルがフォーラムに集まっていることから「コロナ禍で大きく変わった MICE を取り巻く環境について、我々がどのような存在であるべきかを考えてほしい。実りあるフォーラムにしたい」と語った。

額田樹子 社長
神部浩 局長

続いて横浜市文化観光局の神部浩局長が登壇。フォーラムについて「MICE 業界のトレンドの発信や、国内外の関係者との交流の機会の提供など、業界の発展につながる貴重な機会。コロナ禍においても人々がつながり、MICE の未来について議論することは意義のあること。交流を通じて多様な関係者の連携が強化され、実り大きなものとなることを望む」と期待を寄せ、ハイブリッド開催経費や感染症対策経費の支援をしていく意向を示した。さらにパシフィコ横浜が位置する、みなとみらい21地区で音楽ホールやホテルの開業が続いていることから「MICE 参加者にとって、より魅力ある街に進化している。グローバル企業の研究開発拠点や大学のキャンパスも進出するなど、イノベーション人材の交流を図っている」とアピールし、「横浜での MICE 開催は満足いただけるものと確信している」と自信を見せた。

オープニングキーノート「国際会議とともにあるグローバル・コミュニティ~ ACM CHI 2021 Online の開催経験」

昨年、パシフィコ横浜で開催予定だった ACM(Association for Computing Machinery) 主催の「CHI 2021」で実行委員長を務めた東北大学電気通信研究所副所長の北村喜文教授による講演。結果として「CHI 2021」はオンラインで開催する運びとなったが、趣向を凝らした取り組みの結果、参加人数は歴代最多を記録した。

北村喜文 教授

オンライン開催は参加者間に時差があるため、24時間開催にした。プログラムはライブで配信した後、別の時間帯にその録画を流して、質問だけリアルタイムで受け付けるようにして、合計2回発表する場を設けた。チャットルームを設置したので、そこで交流を図った人も多かった。またライブの手話通訳をいれたり、リアルタイムトランスクリプションの提供を行ったりもした。自身は仙台オフィスから参加し、きれいに映るために照明とグリーンバックを用意した。

北村喜文 教授

オンライン開催は参加者間に時差があるため、24時間開催にした。プログラムはライブで配信した後、別の時間帯にその録画を流して、質問だけリアルタイムで受け付けるようにして、合計2回発表する場を設けた。チャットルームを設置したので、そこで交流を図った人も多かった。またライブの手話通訳をいれたり、リアルタイムトランスクリプションの提供を行ったりもした。自身は仙台オフィスから参加し、きれいに映るために照明とグリーンバックを用意した。

CHI は ACM の分科会の1つ、SIGCHI(SIG Computer-Human Interaction)が主催する国際会議。Computer-Human Interaction とは簡単に言えば“人とコンピュータの関係を円滑にするための技術”で、我々はその技術が人や社会に対して与える効果などを研究している。そのため “アクセシビリティ(利用のしやすさ)”についての規定が非常に細かく、一部にはアクセシビリティ、ダイバーシティ、インクルージョンなどを研究テーマとして扱っている方もいるほどだ。会議のアクセシビリティに関する項目を列挙した「Accessible Conference Guide」というものまである。今回の開催でも専門委員と相談しながら「誰もが安全に参加できる会議」を目指し、リアル開催のときとは異なる、オンライン開催のアクセシビリティについて考える必要があった。

グローバルコミュニティを形成するうえでは、ダイバーシティやインクルージョンも重視し、およそ半数を占める初参加者をどのような企画で取り込むかを考えなくてはいけなかった。コロナ禍前は開催前日に初参加者向けのイベントを開催していたが、今回は事前にZOOM でイベントを行い、メンターに質問できる機会を設けた。そのほか、これまで社会から差別・抑圧・疎外されてきた人への支援を意味する“Allyship”に関するプログラムを展開した。事前に Allyship に関する19本の動画を公開し、開催中にその内容について議論する場を設けた。従来はランチ会場に約500人が集い、ダイバーシティとインクルージョンに関する講演を聞きながら食事をとるイベントが設けられていたが、今回はそれに代え、12人の各国のシェフによるオンラインクッキングクラスを開催した。参加者は世界中から、時差によって breakfast、lunch、dinner いずれかのタイミングで参加するので「BLInner」という名称にした。

参加費については、完全オンラインになったことで経費節減となったこともあり、会員タイプで260$ と2019年の800$ と比較するとだいぶ抑えられた。2019年はタイプ別に4種類の料金設定をしていたが、今回はそれに加えて参加者の国の経済発展状況別に3つの料金カテゴリを設定した。カテゴリ名は国際会議名からとった“C”“H”“I”とし、ランク付けにならないように配慮した。SIGCHI には他に24の会議があるが、日本ではまだ9つの会議しか開催されていないので、近いうちに誘致にチャレンジしたいと思っている。

\フォーラムでは他にもこんな企画が/

【Outside the Box】 心を整える~坐禅体験

曹洞宗 大本山總持寺の参禅室長 花和浩明老師を迎えて坐禅の作法について学ぶ体験。今回は海外の人や車いすの人なども気軽に参加できる椅子坐禅を約20分行った。花和老師は曹洞宗の坐禅にいそしんでいた著名人として夏目漱石やスティーブ・ジョブズの名前を上げ、「その後の発想・活躍はある意味坐禅に誘発されたものかもしれない。今回の体験をきっかけに坐禅に注目していただきたい。この後、1日研修が続くと思うが、心を清らかにして臨んでいただければと思う」と話した。

「坐禅は修行であるとともに、活動するなかで有効に力を与えてくれる教えではないかと思う。集中とリラックスをもたらす独特の作法。気が付かなかった自分の潜在能力を発揮できる基盤が養成されるのではないか」と話す花和老師

坐禅は椅子を壁向きに置いて行った

session 1 「コロナ禍からのより良い復興をめざして」

パシフィコ横浜の馬鳥誠取締役営業推進部長がホストを務め、韓国の展示会場 KINTEX のフランク・ヤン コンベンションマーケティングディレクターと八芳園の高橋直樹グローバルセールスマネージャーに各会場のコロナ禍での取り組みについて聞いた。