2012年に野外コンサートに訪れていた女性が落雷によって亡くなる事故が起きた。この事故は、訴訟問題に発展したことで多くの人に周知されることとなったが、そもそも落雷事故は、屋外ではいつ遭遇してもおかしくないという。インドではモンスーンを迎えた2016年6月、落雷により67人以上が死亡、7月には沖縄の海水浴場でも4人に雷が落ちる事故が発生した。近年、ゲリラ豪雨が発生したり真夏にヒョウが大量に降ったりと、異常気象が取りざたされることが多い一方で、屋外のイベントも増加している。そこで、屋外イベント開催時における安全管理のひとつ、落雷対策についてフランクリン・ジャパンの大川孝幸氏と岸田拓己氏に話を聞いた。
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イベント開催地周辺の雷の発生を予測
雷は、水蒸気を含む空気が上昇していく過程で小さな氷となり、さらに上昇してあられになって落下する氷と、上昇する小さな氷がぶつかり合って発生した静電気が溜まり、放電によって発生する。地表近くの大気が高温多湿になる夏は、強い上昇気流が起こりやすく、雷も発生しやすいという。この雷の発生を抑えることはできず、落雷に遭わないためには、建物内などの安全な場所に避難することが最も確実だ。
フランクリン・ジャパンは雷観測ネットワーク (JLDN) のデータから、特定の地域の雷の発生を事前に予測し、リアルタイムで現況把握することのできる、雷・気象情報提供システムを開発し提供している。JLDNは検知範囲が約600km のセンサーを日本全国に30基設置して、24時間リアルタイムに情報を提供するもの。1つの雷に対して平均6~7台のセンサーが検知するので、精度と信頼性の高い雷情報の提供が可能となっている。フランクリン・ジャパンの雷情報の大きな特徴は、予測したい地域をより細かく設定することで、イベント開催地周辺に絞った情報を、ピンポイントでリアルタイムに提供することができることだ。またイベント期間中、気象予報士の資格を有するスタッフから気象情報も含めたアドバイスを受けることもできる。