「未来社会の実験場」大阪・関西万博の準備を加速[経済産業省]

インタビュー
本記事は2022年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.28で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.28|特集① 大阪・関西万博に備えよ!
大阪・関西万博の開催まで残すところ1,000日を切った。東京五輪に続く日本経済発展の起爆剤として期待されている大阪・関西万博だが、その準備は既に本格化し企業は2025年を視野にさまざまな取組みを開始している。本特集では大阪・関西万博に向けた国や企業の最新動向を追った。

世界中から大勢が集う万博において、主催国のパビリオンは国の在り方を世界に示す絶好の機会だ。そこで大阪・関西万博を誘致し、日本館を出展する経済産業省に2025年に向けた取組みや、日本館のコンセプトについて話を聞いた。

大阪・博覧会協会・内閣官房と連携 ワンチームで万博成功へ駆け抜ける

(L)土屋 博史 氏 経済産業省 商務・サービスグループ 博覧会推進 参事官(室長)
(R)長田 かおり 氏 経済産業省 商務・サービスグループ 博覧会推進室 室長補佐

─大阪・関西万博における経済産業省の役割について教えてください

土屋 経産省は大阪・関西万博の誘致活動を進めた責任官庁であり、開催地である大阪府・市や具体的な準備及び開催運営等を行う2025日本国際博覧会協会(博覧会協会)、アクションプランなど政府全体にまたがる施策を推進する内閣官房と連携しつつ、大阪・関西万博全体に一歩踏み込んだスタンスで関わっていきます。また、日本政府館(日本館)の出展も、経産省の管轄です。

─各団体との連携体制はどのようなものですか

土屋 大阪府・市、博覧会協会、内閣官房とは毎日のように会議・やり取りを行っています。各々の強みを活かしつつ、ワンチームで臨むことが重要です。先日、開催1000日前のイベントも開催されましたが、今後、一段と機運醸成を図るとともに、インフラ整備などを加速する段階に入ってきています。1000日前イベント開催の直後には博覧会国際事務局(BIE)ケルケンツェス事務局長が来日し、現地視察に加え、万博準備にかかる具体的かつ実務的な検討を膝詰めで行いました。万博は国全体を挙げてのイベントですので、国土交通省や厚生労働省、文部科学省、環境省などさまざまな省が関わってきます。政府一丸となった対応が大変重要です。

─博覧会協会への出向状況は

土屋 経産省・地方経産局など各省をはじめ、産業界、大阪府・市などからも博覧会協会へ多くの人材が出向しています。大阪・関西万博を成功させるためには多様な視点が必要であり、それぞれの強みを組み合わせて、ワンチームで臨むことが大事です。

日本館で循環型社会を体験 2023年度からは工事も開始

─日本館の出展について教えてください

土屋 大阪・関西万博では各国によるパビリオン、テーマ事業であるシグネチャーパビリオン、開催地である大阪パビリオン、企業・団体による民間パビリオン、そして経産省が出展する日本館という5つのパビリオンがあります。経産省は2021年4月に策定した日本館基本構想を基に2022年3月31日、「日本政府出展事業(日本館)基本計画」を策定しました。今後はこの基本計画をベースに日本館の具体的な内容を決定していきます。2022年度は設計および検討の年となり、23 ~ 24年にかけて工事が開始します。

─基本計画はどのように策定されましたか

土屋 日本館の総合プロデューサーである佐藤オオキさんを含む有識者による会議を経て策定にいたりました。テーマである“いのちと、いのちの、あいだに -Between Lives-”を基に日本館の在り方を考え、展示体験の柱に「循環」を据えました。循環型社会実現のためには「Reduce(削減)」「Reuse( 再使用)」「Recycle(再生利用)」という3Rが必要です。日本館では地球に対する負荷低減を図るため、例えば CO2を資源として捉え、化学品・燃料として使えるようにするカーボンリサイクルのような技術に焦点を当てます。カーボンリサイクルに関しては日本が得意とする分野ですが、欧米や中国などの技術力やビジネスモデル構築において競争が激化しており、この機会に国際競争力の強化を図れればと思います。

長田 江戸時代、日本は高度な循環型社会だったと言われています。排泄物を売買したり、桶に付いている外枠を外せば木の部分が全部分解されるように設計したり、物を大切に使う習慣がありました。脈々と受け継がれてきた先人たちの知恵を、温故知新する観点で紹介していければと思います。

─「脈々」と聞くと公式キャラクターのミャクミャクが連想されます

長田 1000日前イベントで発表されたミャクミャクという名には、知恵や歴史といった人間の素晴らしさを脈々と未来に受け継いでいくという想いが込められています。

既存イベントとのタイアップ大阪から全国に熱を届けたい

─今後、どのように機運醸成を図っていくかを教えてください

土屋 7月18日に大阪と東京で行われた1000日前イベントは一つの大きな節目であり、SNS などでも大きな話題となりました。開催地である大阪に加えて全国が盛り上がることが重要で、大阪・関西万博に向けた全国自治体のネットワークである万博首長連合などとも連携し、全国でイベントを行うなど活動を行っていきます。

─どのようなイベントが考えられますか