〈TEAM EXPO 2025〉“誰一人取り残さない”ことで新しいMICEを[日本コンベンションサービス×ミライロチーム]

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本記事は2021年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.23で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.23|特集② 大阪・関西万博への鼓動
「東京一極集中」と言われてきた日本が変わろうとしている。その中核にあるのが、2025 年に開催される大阪・関西万博だ。“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに、人類共通の課題解決に向けた最新の技術やソリューションが集う夢洲の地には、世界中から約2,800万人が訪れると言われている。大阪・関西万博によって社会はどのように変わるのか。最新の動向を追う。

国際会議などMICEを手掛ける日本コンベンションサービス(JCS)と、ユニバーサルデザインのコンサルティングを行うミライロはチームを結成し、TEAM EXPO 2025に参画した。「“誰一人取り残さない” MICEプロジェクト」にかける思いを、JCSの松田健執行役員/西日本事業部長と、ミライロの垣内俊哉社長にうかがった。

知見やノウハウを組み合わせ多様性のある MICE の実現へ

垣内 俊哉 氏(左)と 松田 健

─それぞれの事業内容について教えてください

垣内 ミライロでは障害などの「バリア」を「強み」「価値」に置き換える「バリアバリュー」を企業理念に掲げ、さまざまな施設や商品、街づくりにおけるユニバーサルデザインのコンサルティングを行っています。高齢者や障害者など多様な方を対象としたユニバーサルデザインの取り組みとして、「環境」「意識」「情報」という3つの軸から企業・自治体・教育機関などにアドバイスを行っています。

松田 JCSは1970年大阪万博が開催される3年前の1967年に創業し、以来、国際会議など国際的イベントの運営を多数手がけてきました。現在では同時通訳や人材派遣、施設運営、さらには地方活性化支援など、あらゆるコミュニケーションを通じて社会課題の解決に貢献しています。

─「“誰一人取り残さない”MICEプロジェクト」はどのような形でスタートしたのでしょう

松田 MICEというのは人と人とが交流する場ですが、多様な人が来場し、多様な人が担い手となることで、その価値を向上させることができると考えています。そのような考えを抱いていたところ、自治体の公募案件や民間企業への企画提案、勉強会などでミライロさんとご一緒する機会があり、TEAM EXPO 2025をきっかけに大阪・関西万博に向けて一緒に何かできないかと思いました。

─プロジェクトの方向性はどのように決められましたか

松田 万博は世界を代表する一大イベントですが、単に世界中から大勢が参加するだけではなく、新しい価値を生み出す場であり、一つのショーケースと言えます。その中でさまざまな社会課題を解決するため、JCSのコミュニケーションを通じた取り組みと、ミライロさんのバリアへの取り組みを合わせ、社会をより良い方向へと変革させることができるのではないかという観点から話し合いを始めました。

垣内 ミライロでは創業以来、さまざまなイベントに携わってきました。最たるところでは、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた宿泊施設や交通機関の整備、ボランティアの方々への教育などが挙げられます。オリンピック・パラリンピックがそれぞれ2週間ずつの開催であるのに対し、万博の会期は185日間と長期にわたります。さまざまな準備や取り組みを進めていかなければならない中、当社だけで実現できることには限りがあり JCS さんとご一緒できることに心強さを覚えます。

─プロジェクトパートナーのどのようなところに魅力を感じますか

垣内 JCSさんが持つ、これまで数多くのMICEを成功に導いてきた実績やノウハウ、知見は素晴らしいものです。ミライロは創業11年とまだ日が浅く、小さなベンチャー企業でしかありません。障害のある方に対する視点や経験の豊富さについては自負がありますが、自社だけではそれを十分に広げきることはできません。JCSさんとチームを結成することで、ミライロがこれまで培ってきたものを十分に発揮できると期待しています。

松田 JCSにとって、我々が持っていないノウハウや知見を持っているミライロさんは心強いパートナーです。MICEにとってバリアの克服というのは重要な課題です。これまで、言語のバリアであれば通訳、距離のバリアであればオンラインといったように1つ1つを解決してきましたが、フィジカル面におけるバリアの克服は十分とは言えない状況でした。また、MICEの担い手にはこれまでトップのエキスパートを集めてサービスを提供してきましたが、人材の多様性という意味では、十分ではなかったかもしれません。これからは障害のある、ないに関わらず、世の中に貢献し得る多様な人材が重要になってくるであろうと考えたとき、ミライロさんほど頼りになるパートナーはいないと考えています。

「顕在化しやすい」障害者だけでなくあらゆる人が快適に参加できる環境を

─プロジェクトを通じて社会にどのような影響を与えていきたいですか

垣内 多くの企業・自治体ではイベントを開催する際に障害者に対してフォローをしますが、そのほとんどが顕在化しやすいものに限られています。具体的には車椅子や杖をついている方への対応などです。視覚障害や聴覚障害、言語障害、知的障害、精神障害がある方にとって快適なイベントとはどうあるべきなのか。それをしっかりと確立していくことが必要だと感じています。

松田 多様な人材がバリアを克服してMICEに参加し、意見を交換することでMICE自体の価値も向上します。また、非日常空間でバリアを克服したという経験がレガシーとして残ることで、その後の日常をも変えていける可能性を秘めていると考えています。

─今後、どのようなアクションを想定していますか