未来にも通じるイベントづくり[プロデューサー・藤木 清治 氏]

インタビュー
本記事は2022年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.27で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.27|特集① イベントの未来とは
人と人とが交流する機運が高まりつつあり、大型イベントにも明るい兆しが見え始めている。多くのイベントたちは、開催形態を変化させながら新しい時代の荒波を生き抜いてきた。“イベント”は将来、それぞれどのような形式を選び取り、どのような進化を遂げてゆくのだろうか。人々に求められるこれからのイベントの在り方と未来像を、各イベントの展望から探る。

イベントの未来とは何か。数々のイベントを手掛けたプロフェッショナルこそが、その答えを知っていよう。そこで藤木氏にイベントを創り上げる視点から持論を展開していただき、プロデューサーとしての職業観を聞いた。

藤木 清治(ふじき・きよはる)氏
●博報堂プロダクツ 関西支社総合プロモーション部 シニアプランニングディレクター
●ひろしま国際平和文化祭実行委員会 総合プロデューサー
国内大手企業・商品のブランドマーケティング及びプロモーション業務を多数経験。また、国内外でのBtoBプロジェクトの立案、国際的なファッションイベントの企画プロデュースも実施。東京ガールズコレクション実行委員会のスーパバイザーも歴任。2015年に文化芸術創造拠点・京都文化プロジェクト企画及び制作プロデュース。2018年に大阪芸術文化フェス総合企画及び制作プロデュース。

イベントの潮流を見据えて

これまで多くの企業 PR イベントや国や地方行政の文化イベントなどを手掛けてきた。企業の PR イベントなどは、セールスプロモーションに紐づくビジネス・イベントだが、近年は生活者が参加する体験型のイベントにシフトし、音楽や食、工芸、アートなど文化的な側面のジャンルも大幅に増えた。要は、人々がお出かけする一つの目的としてイベントが選ばれ、多様なイベントが世の中で増加した。

特に近年、コロナ禍に入る前は国内外から旅行者を誘引するインバウンド施策が活発化したことで全国各地の魅力を発信するイベントが増え、私も多くのイベントを手伝う中で手応えを感じていた。

次代のイベントの姿

ところが状況は一転。2020年になると新型コロナウイルスの影響で国内のみならず世界中のイベントが姿を消してしまった。風物化していた運動会や花火大会、お祭りなど生活の一部となっていた日本古来のイベントも無くなり、「この先どうなるんだろう?」と不安になったことを忘れない。本来、イベントとは人と人との関わり合いや、その場に行くことで学びを得るものだが、それが全て中止となり、一つのコミュニケーションツールが世の中から消えるという喪失感を味わった。

オンライン

コロナ禍では、なんとかイベントを継続しようということでリアルからヴァーチャルを模索した。しかし、そこには温もりや熱気、臨場感を見いだせなかった。デジタルと共存しつつも原点回帰し、リアルの活性化を目指す。これがイベントのあるべき姿だと再認識させられた。

地方イベント

イベント運営者は感染症対策を徹底することが常識となったが、一度でもクラスターが発生すれば、イメージダウンを避けることはできない。今後、世の中の風潮がどこまでイベントに対する許容範囲を容認するか、難しい判断を迫られるため未だに気を抜けない。

とはいえ、人の欲求は抑えられないことも知っている。現地に行って、その空気感を味わいたいという欲求は、人間の本能とも言えるのではないか。この人々の欲求に応えたい関係者は多く、首都圏よりも地方都市がより積極的な姿勢を示す。今後、国の施策でインバウンドが再開し渡航者が増えることが予想されていることから、地方こそ早めに着手すべきだ。そのためにも、まずやるべきことは都市の魅力やブランディングの醸造が急務であり、その土地の魅力を発信するためのイベントや、発信基地としての役割を担う何かを創る必要がある。将来を決める重要な岐路にあるのではないか。

ブランディング考