『EventBiz』vol.30|特集② 展示会のプロに聞く! 出展成功のカギ
集客や接客、展示手法、予算、社内体制・教育、計画の立て方、効果測定、展示会の選定、海外出展成功のコツ……など、さまざまな悩みを持つ出展者に向け、展示会のプロに出展のヒントを聞きました。
海外展への出展に対して、「ほぼ海外での出展経験がない初心者」、「3 ~ 5回程度出展経験がある中級者」、「さらにそれ以上出展経験を重ねた上級者」では、そのレベルごとに悩みの質は異なる。それぞれの段階によってよくある悩みやぶつかる壁とその解決方法について、食品や雑貨を専門に多くの中小企業の海外出展を導いてきた中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)・販路支援部中小企業アドバイザーの横山徹氏に伺い、海外展で商談を成功させるコツを探る。
Profile
中小企業基盤整備機構 販路支援部 中小企業アドバイザー(国際化・販路開拓担当) 横山 徹 氏
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初心者の壁
初心者から一番よく横山氏に寄せられる悩みは言葉の心配だ。展示会で使う単語やフレーズは限られており、「試食・試飲してください」「味はどうですか」「興味はありますか」など、覚えるべきものは少ないが、なかなか最初の一言目をバイヤーにかけることができないのだという。
「たとえ片言でも『プリーズドリンク』とだけ言えれば、試飲してもらえます。言葉が堪能でなくても、そこから商談が進む可能性があります。また英語だけでなく、中国なら中国語、フランスならフランス語と、その土地の言葉を少しでも覚えていった方が良いコミュニケーションが期待できます。食品の展示会なら『好吃』や『Merci』と現地語で言えた方が絶対にいいんです」(横山氏)。
また初心者の出展者に対しては、長続きする出展計画を立てるようにアドバイスを行っている。いきなり何百万円、1千万円と費用をかけすぎると企業として息切れしてしまい、継続した出展ができなくなってしまう。特に食品の場合は保守的な側面が強く、例え1回の出展で話題になったとしても、馴染みのない新しい食品が海外で売れるまでには時間を要する。どこの国でも伝統的に食べられているものがあり、そこに新しい食文化を入れることとなり、徐々にプロモーションをかける必要があるからだ。そのため、一回一回の出展を少ない予算で済ませ、計画的にかつ根気よく出展を続ける持久戦が強いられる。フランスの会社がワインを飲む文化を日本人にじわじわと浸透させてきたように、フランス人に日本酒を飲んでもらうには丁寧な土壌作りが必要だった。そのセオリーは今も変わらない。