NUTSが支えるボックス・ワンの現場力【イベント/展示会業界の倉庫見学】

インタビュー座談会イベント職業図鑑

イベントや展示会のブース施工を手掛けるボックス・ワンの成田スタジオ/ NARITA UTILITY TECHNICAL STUDIO(NUTS)は、同社が持つ豊富な資材を管理する大型倉庫である。NUTS で働くスタッフに普段の仕事について話を聞いた。

本記事は季刊誌『EventBiz』で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。
\ NUTSスタッフ座談会 /

NUTS の仕事内容とやりがい

─普段の仕事について教えてください

<strong>戸田 礼司 </strong>さん
戸田 礼司 さん

オクタノルムやマキシマライトといったシステム部材やパネルなど、ブース設営に必要な資材の準備と資材のメンテナンスが主な業務です。

例えば月曜日なら、先週の土日に東京ビッグサイトから戻ってきたポールやパネルを片付けて、今週の現場で必要な資材をケースや台車に載せて、トラックに積み込むという流れ。それを毎週繰り返します。資材が足りなくなることもあるので、同業他社から借りる調整も行います。

<strong>若林 康彦</strong> さん
若林 康彦 さん

資材を清掃しながら、壊れてしまった資材は修理したり、必要に応じて新しいサイズに加工することがあります。大きな基礎施工の現場があったときは、何千枚ものパネルをひたすら磨くので、メンテナンスは一苦労です。

NUTS には多くの種類の部材がありますが、中でも、展示会でよく使うオクタノルムのポール(H2,700mm /白)は約1万本、パネル(H2,600mm)は7000枚ほど保有しています。

<strong>榊 俊介</strong> さん
榊 俊介 さん

年に数回、倉庫の部材がほぼ空っぽになるときもあって、そのときは嬉しさを覚えます。僕の場合は、部材が返却されるときよりも、出ていったときの方が喜びは大きいです。

<strong>金田 はるか</strong> さん
金田 はるか さん

返ってくるときはシートがべったり貼られていたりしますからね。

<strong>榊</strong> さん
さん

マキシマライトは木目調のシートで装飾されることが多く、それを剥がすのは僕の仕事。あぁ、返ってきちゃったか~、と(笑)。

─どのようなときにやりがいを感じますか?

<strong>若林</strong> さん
若林 さん

たまに展示会に足を運ぶことがありますが、自分で荷出ししたものが実際に現場で使われているようすを見るとやりがいを感じます。発注伝票の内容から何となくはイメージできても、実際に建てられたブースとは違いますからね。

<strong>金田</strong> さん
金田 さん

テレビで展示会が取材されたときに自社の部材が映ったときも、嬉しくなります。

─仕事をうまく進めるポイントは?

<strong>金田</strong> さん
金田 さん

現場で実際に施工する人のことを考えながら、荷物をつくることです。例えば、展示台で使用する引き戸は最後に設置するので、なるべく荷物の下の方に積み、最後に取り出せるようにします。いろいろな資材をまとめるときも、これとこれを混ぜると組みづらいかも?と考えながら荷造りしています。

<strong>戸田</strong> さん
戸田 さん

たとえるなら、テトリスです。さまざまなサイズの部材をトラックの限られたスペースにきれいに収まるように想像しながらケースや台車を準備します。

<strong>榊</strong> さん
さん

そして、準備されたそのケースを見れば、言葉を交わさずとも「これはこう積むべきだな」と自然に理解できます。10トントラックにきれいに積み込めたときは気持ちがいいんです。

<strong>金田</strong> さん
金田 さん

みんなでスッキリする瞬間ですよね。

─ NUTS で実施されるイベント「クリエイティブコンテスト 」についてもお聞かせください

NUTSにある部材を自由に使用し、テーマに沿ったオブジェを制作する社内コンテスト。完成したオブジェを撮影し、投票によって優勝チームが選ばれる。チームは約6名で構成され、発想力やチームワーク、作品の撮影方法が評価の対象となる。

\ 過去の作品 /
<strong>若林</strong> さん
若林 さん

NUTS(千葉・八街市)と本社(東京・江戸川区)は距離があるため、通常の業務では電話でやり取りする程度なんです。そのような中で、クリエイティブコンテストは普段会えない人と交流ができる。一緒に作品を制作することで、人となりが分かったり、気づきがあったり、良いきっかけになっています。

<strong>戸田</strong> さん
戸田 さん

普段は営業部の人としか話しませんからね。クリエイティブコンテストのときは、企画部の人とも話せます。

<strong>金田</strong> さん
金田 さん

私自身は、アルバイトのときからずっとパネルを扱う部門にいたので、クリエイティブコンテストで初めて、デザインに触れることができました。とても新鮮で貴重な経験です。

<strong>榊 </strong>さん
さん

僕は、作品が毎回入賞しているので、今回も頑張りたいです。僕は毎回、チームメンバーが集まってから、その場で考えながら勢いでつくっていますが、中にはあらかじめ図面を起こして取り掛かるチームもあります。

<strong>戸田</strong> さん
戸田 さん

NUTS で働く僕らでさえあまり知らない「こんなのあったんだ…」というマニアックな部材が動くこともあります。実は倉庫には、昔は使っていたけど今は使う機会が少ない部材も数多く眠っているのですが、普段の展示会ブースをつくるセオリーではどうしても表現できないときに役立っています。そういった経験を通じて、ボックス・ワン全体としての表現力や対応力などのスキルアップにつながっているのかなと思います。

\ NUTS所長インタビュー /

経験と信頼から生まれるチームワーク

古郡 拓郎 さん
成田スタジオ/NARITA UTILITY TECHNICAL STUDIO(NUTS) 所長

― 成田スタジオ(NUTS)の特徴と強みを教えてください

NUTSは敷地面積が7,400㎡ で、倉庫棟は4000㎡ありますが、保有する資材や部材の増加に伴い、最近やや手狭に感じるようになってきました。現在、社員とアルバイトスタッフ合わせて約20人のメンバーが働いており、施工後の残材や空箱を含め、あらゆるものを保管・管理しています。職場の雰囲気はとても良く、チームワークが取れています。離職率が低いのはありがたいことで、経験豊富なスタッフが多いので、安心して仕事を任せることができています。

資材や部材の在庫量は非常に多く、展示会で使用頻度の高い2,700mmポールだけでも約1万本あります。これは、並べると約10㎞の壁面を作ることができるほどの量です。またポールの種類も、5,000mm からH120mm まで幅広いサイズ展開があり、カラーもホワイト、シルバー、チャコールグレーと豊富に揃えているため、あらゆるニーズに対応可能です。

 「100のブースを2日でつくる」という当社のキャッチコピーは、ボックス・ワンの現場力をよく表しています。しかし、その現場力を支えているのは、NUTS にある豊富な資材です。ここには複数の現場で同時に高品質なブースを提供できる体制が整っており、この充実した体制こそが、ボックス・ワンの成功を支えていると自負しています。

同業他社に資材を貸し出すこともあり、逆に協力を仰ぐこともあります。こうした持ちつ持たれつの関係も業界全体の力を高めていると感じます。また、他社の新入社員研修の場として、NUTS を利用いただいたことがあります。

私たちが送る部材は、大きな現場だけでなく、小さな施設でも使われます。例えば、エレベーターが狭い現場などでは、荷物の作り方を工夫する必要があります。フォークリフトが入れない現場も多いため、台車積みが基本です。また、ゲート車にそのまま積み込むことも多いです。いつも気にしているのは、現場での建て込みのしやすさ。現場で実際に施工する人たちが使いやすいように荷物を作ることを第一に考えています。一方的な愛かもしれませんが、常に現場のことを考えながら仕事をしています。

会社名株式会社 ボックス・ワン
事業内容イベント、各種展示会、商業施設などに関するレンタル業務及び企画、設計、施工
設立平成元年4月
従業員数60名

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