イベントで環境と日本文化を考える[パナソニック]

インタビューARCHIVE
本記事は2018年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.12で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.12|特集① イベントの力で企業価値を高める
地球環境や社会へより良い影響を与えるため、CSRやサステナビリティといった活動を推し進め、自社の価値向上を図る企業が増えている。自身の成長のため、私たちが内面を磨く努力をするように、企業もまた「私たちのより良い未来のため、必死になって取り組んでいるなんて素敵!」と応援したくなる会社を目指し、自分磨きをしているのだ。そこで本特集では、“企業の価値向上を目指す取り組み”のなかでもイベントを使用した事例を紹介する。イベントの根底にあるコンセプトに焦点を当て、企業の価値向上に、魅力ある企業づくりにつながるヒントをお届けしたい。

2017年5月、彦根城に最新型掃除機の音が響き渡った。地元の小学生、彦根城職員、パナソニックの社員が彦根城の大掃除に励んだ「日本のお掃除 再発見プロジェクト」は、日本家屋の特徴にあった掃除機を使い掃除の魅力をアピールするイベントだ。企画の背景や目的、そしてなぜそのプロモーションに“イベント”が選ばれたのか。プロジェクトの担当者であるパナソニック・米山正晃氏に聞いた。

「日本のお掃除 再発見プロジェクト」国宝・彦根城を大掃除
細部まで気を配る日本の特徴的な掃除の在り方を、日本らしい家屋の掃除を通して啓発していくプロジェクト。プロジェクトのナビゲーターには、異文化コミュニケーションの専門家であり、日本文化へ造詣の深い、京都外国語大学教授のジェフ・バーグランド氏が就任。キックオフイベントとして彦根城を2017年5月30日「ごみゼロの日」に大掃除を行った。

―「日本のお掃除再発見プロジェクト 国宝・彦根城を大掃除」の開催に至った経緯と、その目的を教えてください

日本に住む人なら直感的に共感できる“日本文化・美意識の再発見”を通じて、“日本的な掃除の良さ”に気づいてもらいたい、日本のライフスタイルや日本の家特有のゴミの性質に対して日本の掃除機がふさわしい、という流れで商品の良さを伝えていきたいと考えました。そこで、日本の掃除機で日本を美しくするという社会的意義の大きな取り組みを通じて“日本的な掃除(機)の良さ”に気づいてもらうPR施策を立案しました。

また企画を進めるなかで、①日本を代表する建築物(日本家屋)であり、かつ「素足」で過ごす場所を「美しくする」活動であること、②その場所を大切にしたい、キレイにしたいという人たちの想いをかたちにする活動であることの2点を意識しました。その結果、日本の象徴的な家屋=日本のお城というアイデアにたどり着き、そのお城を地元のみなさんと一緒にキレイにする活動として実現に至りました。

―反響はどのようなものでしたか

まず提案をもちかけたところ、彦根城管理事務所の皆さんや、彦根城近辺の小学校の先生たちも大変興味を持ってくれて、全面的な協力を得ることができました。そして当日は、彦根城職員の皆さん、地元のパナソニック社員と一緒に、授業の一環として小学校の子どもたちが、さらには彦根市長も応援に駆けつけてくれて、あわせて100人強におよぶメンバーで国宝・彦根城の天守や櫓などの各エリアを大掃除することができました。

この取り組みは、NHKをはじめとしたテレビ数媒体を含む大勢の方々が取材に訪れ、たくさんのメディアに取り上げられました。また、日本の暮らしにあった掃除のあり方に改めて意識を向けたこの取り組みに共感する声も寄せられ、企業のブランディングにも一定の効果を得ることができたと考えています。

―イベントを広告媒体としたのはなぜですか

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