アルバイト求人情報サービス「an」の運営を行うパーソルキャリアは、2017年5月に「anまかない
フェス」を開催し多くの来場を集めた。人材サービスを主な事業とするパーソルキャリアが、大規模イベントの開催に踏み切った理由に迫る。
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「an まかないフェス」とブランディング
―アルバイト求人情報サービス「an」の名前をつけてイベントを開催したのはなぜですか
森さん 「anまかないフェス」は、アルバイト求人情報サービス「an」のブランディングを目的に企画したイベントです。ブランディングといっても、単に周知を図るだけでなく、「an」が伝えたいことや大切にしたいことを世の中に届けたい、また、イベントを通して世の中に少しでも気づきを与えたいという思いからこのイベントは生まれました。
私たちは、アルバイト求人情報サービスである特徴からアルバイト先を探すユーザーと会う機会が多く、声を直接聞くことができる立場にあります。例えば個人のユーザーに、アルバイトをどんな基準で選んでいるかを聞いてみると、「時給」や「柔軟なシフト変更が可能か」、「駅から近いか」を重視しているという意見が多いです。しかし、同じアルバイトを長く続けている人にアルバイト先を変えない理由を尋ねると、「仲間が好き」や「店長が尊敬できる人だから」「まかないが美味しい」などといった全く別の理由が挙がります。
そこで、アルバイトを選ぶ理由と続けている理由が違うことに着目しました。初めから後者の理由でアルバイトを選ぶことができれば、長く続けて仕事ができるはずです。でも選ぶ理由と続ける理由に大きな差があるのは、私たちアルバイト求人情報サービスの運営会社が作り上げてきた構図が原因だとも考えています。なぜなら、アルバイトの求人サイトの設計そのものが、時給やエリア、シフトで探す・絞り込むようなシステムになっており、ユーザーはそういった要素でアルバイトを探すものだと思い込んでしまったのです。
堀越さん このようにユーザーの認識が固まっていると企業は採用の際、ユーザーの固定概念の中で戦わなければなりません。人材を獲得するために時給を高くしないといけない、シフトの融通を効かさないといけない、立地が悪いと採用に不利であるといった具合です。
でも実際は、働いている人の満足度はその尺度だけで決まるものではないことがわかりました。つまりもっと職場本来の個性と、働きたいユーザーの潜在的欲求が合致すれば、両者にメリットが生まれるとひらめきました。
そこで注目したのが「まかない」でした。ユーザーの声を聞いてみると「まかないが美味しい」というポイントは、雇用側が思っている以上に、働き続けるかを考える上で重視されています。ですが、世のアルバイト求人サイトは、まかないからアルバイトを探せる仕組みにはなっていないし、雇う側もほとんどが「まかない」を採用の宣伝文句にはしていません。
これにアルバイト求人情報サービスの運営会社として一石を投じることにしました。まかないをアルバイト探しのきっかけに、モチベーションのひとつとして気がついてもらうことで、改めてアルバイトの選び方を見直してもらえるのではないかという確信を頼りに、「まかない」を切り口にすることを決めました。
媒体にイベントを使用したのにも理由があります。開催当時は食フェスがブームで、どれも人気があり、SNSやメディアでの取り上げられ方にも勢いがありました。そのため、イベントを活用することで、より多くの人に私たちのメッセージを伝えられると考えました。
伝えたいメッセージを「まかない」というシンボルで伝えられること、食フェスという力のある媒体で広い範囲に発信できることから「anまかないフェス」の開催に至りました。