SNS拡散数がイベントのKPIに “撮りたい・発信したい”体験づくりの手法とは[GENEROSITY・西垣 雄太 氏]

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本記事は2019年8月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.16で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.16|特集② いまさら聞けない!インスタ映えのつくりかた
今やイベントの広報ツールとして欠かせないものとなったSNS。イベント主催者はSNS拡散のなかでも特にイベントの盛り上がりや魅力がダイレクトに伝わる写真による拡散を狙い、いわゆる「インスタ映え」の要素を積極的に取り入れている。そこで今回はまだインスタ映えを取り入れていない主催者に向け、インスタ映えの基本的な考え方から実際にインスタ映えスポットがどのような発想から生み出されたのか、その事例とともに紹介する。拡散してほしい側の主催・企画者視点のほか、拡散するインフルエンサーの視点を合わせることで思わず撮影・拡散したくなるスポット作りのポイントを考える。

イベント会場でインスタグラムにイベントのハッシュタグをつけて投稿してもらうことで限定の写真カードを貰える印刷機器や、スポーツ観覧中に指定のハッシュタグをつけて写真を投稿するとスタジアムに写真が流れるサービスなど、イベントの SNS 拡散ツールの開発・提供を行う GENEROSITY。近年はこれらの SNS 拡散ツールを用いてイベントのトータルプロデュースを手掛けている。代表取締役社長の西垣雄太氏にイベント体験をより多く拡散してもらう “インスタ映え”要素について話を聞いた。

SNS拡散はイベント効果測定の一つの要素に

西垣 雄太 氏(GENEROSITY)

「イベントの KPI が売れ高や来場者数だった時代は終わりました」。西垣氏は断言する。続けて「LINE の IDのような顧客データの取得率や、イベントの不参加者に対する参加者の SNS 投稿のエンゲージメントなど、今はイベントの KPI にデジタル要素は必須です」と SNS拡散の重要性を指摘。GENEROSITY ではリアルとデジタル双方のプロモーションを企画するプランナーと、それを実現するためのツールを開発するクリエイティブスタッフやエンジニアで構成されている。撮りたくなる、拡散したくなる仕掛けSNS 拡散ツールを開発してきた独自の視点を持ち、より深くイベントのインスタ映えに係わってきた西垣氏はイベントの SNS 拡散で重要なポイントとして “撮りたくなる要素”と“発信したくなる要素”を持つ空間・環境づくりを挙げる。これらの要素はさまざまな仕掛けによって拡散のモチベーション向上につながるもの。実際にオンラインを含めたイベントの制作全てを手掛けた企業のキャンペーンをもとに、拡散の仕掛けについて語ってくれた。

キャンペーンはポップアップストアで2日間開催し、1日目にインフルエンサーを招待し2日目に一般公開したものだ。インスタ映えを意識した外観に加え、会場内にも写真映えするインスタレーションをデジタルサイネージで演出した。会場内で提供されたケータリングは商品のカラーバリエーションに併せたカラーのシャンパンやスイーツを展示するように配置。新商品キャンペーンのタグラインは「漢字やアルファベット、数字の混在だと打つのが手間になって拡散力が落ちる」と、ハッシュタグ活用を意識し、全てアルファベットで短いワードに。さらにタグラインに沿った体験用アプリも開発し、来場者の体験要素を充実させた。

自分たちでは撮影できないからこそ拡散される

これは来場者が自分たちのスマートフォンで撮影、拡散する要素を充実させた例だが、西垣氏はさらに“スマートフォン以外のカメラで動画撮影・提供して拡散する”という手法も提示する。GENEROSITY では撮影スポットだけでなく、そこに特殊なカメラを設置して撮影することでユニークな動画を参加者にプレゼントできるサービスを提供している。「背景を付けた3D 調の GIF 動画はスマートフォンじゃ撮れないもの。撮影する側も一種のアトラクションのような体験として記憶に残りますし、これらの動画は当然 SNS に投稿できる仕様。観た人にも『どうしたらこんな写真が撮れるの?』と印象付けることができます」。

さらにイベントの KPI では体験人数が重視されることから、撮影後の動画の提供ではエアドロップや LINEを用いて1人当たりのデータ受け渡し時間を短縮することもポイントで、その後の拡散を促すハッシュタグを提供エリアの近くや動画そのものの最後に目立たせることも工夫の一つだと西垣氏は説明した。

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