文部科学省のスポーツ振興基本計画によると「スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化のひとつである」とある。人間として豊かな生活を送るためにスポーツの果たす役割は大きく、超高齢社会に突入した日本にとってスポーツをきっかけとした地域社会への参画を促すことは、健全な地域の発展に必要不可欠である。
障がい者スポーツとユニバーサルスポーツの違い
競技性の強い一般的スポーツとパラリンピックを代表とした障がい者スポーツの中間に位置するユニバーサルスポーツは、年齢や障がいの有無に関係なく、誰もが参加し楽しめるスポーツだ。一般的に、障がい者スポーツとは障がいの種類 ( ろう者、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者 ) により4つに大きく分けられ、既存のスポーツをその障がいに対応できるようルールの変更などを行なった、障がいを持つ人のためのスポーツのことを指す。パラリンピックのほか、さまざまな世界大会が開催されている。
誰もがともに競技を楽しめることが重要
一方、あまり耳慣れないユニバーサルスポーツとは、年齢や障がいの有無を問わず誰もが参加できるスポーツのことを指す。誰でも参加することができるようなルールを策定したり、障がいに合わせた用具などを使用し、参加者それぞれが楽しめるような仕組みにしたものである。例えばフランス発祥の「ペタンク」は、目標球に金属製のボールを投げ合い相手のボールより近づけることで得点を競う競技で、もともとルールが易しく屋内外問わず少しのスペースで行なうことが可能なため、ユニバーサルスポーツ化しやすい。誰もが参加できるスポーツは、健康増進はもとより高齢者や障がい者の引きこもりを防止し、社会参画を促すことで障がいを持つ人たちとそうでない人たちの相互理解にも役立つ。
スポーツでつなぐ、地域の人々
ユニバーサルイベント協会は、さまざまな人の特性やニーズを把握し、人とスポーツをマッチングさせ地域で生き生きと活動できる人材を養成することを目指した「ユニバーサルスポーツ・コーディネーター養成講座」を開講している。地方自治体のスポーツ振興課の担当者などが受講し、地域の活性化や健康増進を目的としたユニバーサルスポーツイベントを開催するなど、地域の人をスポーツでつなぐ取り組みが各地で行なわれている。さまざまな場面で「誰もが参加できる」がキーワードとなりつつある今、ユニバーサルスポーツにも注目していきたい。