[連載]「実践で役立つソリューション紹介~アクセシビリティ」 ユニバーサルイベントのアクセシビリティは企画・広報時から[ユニバーサルイベント協会・内山 早苗 氏(寄稿)]

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本記事は2016年2月29日発行の季刊誌『EventBiz』vol.2で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

昨年は1,900万人を超える海外からの来訪者があったという。いまやインバウンド(訪日外国人旅行)は欠かせない経済効果をもたらしている。アマゾンのサイトでチェックすると何冊ものインバウンド関連書籍が出版されている。ある百貨店に取材したところ、売り上げの4分の1がインバウンドによるものだという。急速な少子高齢化は日本経済の減速を招きかねないが、インバウンド市場がその穴を埋める大きな可能性を提供してくれている。とはいえ、サービス産業やイベント現場はどうかというと、必ずしも多様なお客さまや来場者に対応できているとはいえないのが現状ではないだろうか。多様な来場者が快適に十分なコミュニケーションや情報を享受できるユニバーサルイベントを、今回はアクセシビリティの視点から考えてみる。イベント開催の情報を多くの人にキャッチしてもらうには、まず企画・広報の段階からアクセシビリティに留意することが必要だ。見えて、日本語が聞こえて、話せることが当たり前と考えた広報では、多くの人が情報キャッチの機会を逃すことになる。アクセシビリティはまずイベントそのものの開催を知らせることから、情報へのアクセス、参加有無のやり取り、会場へのアクセス、会場内のアクセス、そのイベント情報の享受やその配慮まで、多岐にわたる。そのためイベントのサイトの情報がアクセシビリティ指針に沿って、見えない人にも読めるか、日本語だけでない表示の配慮ができているかなど、誰にでも読めて理解できるものになっているかを確認してほしい。今回は、こうした情報提供やコミュニケーションに役立つソリューションを2つ紹介する。

声を使わない電話での対応「手書き電話UD」

聴覚に障がいのある人は電話での問い合わせができない。申し込みや質問が電話だけだとその時点で参加をあきらめてしまう。あるいは苦情としてクレームとなる。その不便さを解決できるソリューションがある。「手書き電話UD」だ。いまや多くの人が持っているスマートフォンやタブレット。そこで電話のように双方向、同時に手書きで会話できるアプリだ。イベント時に申し込み方法がわからなくて質問したいとき、手書きならば聴こえない人も質問できる。申し込み時だけでなく、大音響のライブイベントや静かな会場で音声でのやり取りが難しい状況でも、スタッフが手書き電話で指示を出したり連絡し合える。実際、開発会社プラスヴォイス代表の三浦宏之氏は、高校野球の球場で各ポジションでカメラを構えている撮影スタッフに、この手書き電話を使って指示を出している。その撮影スタッフは聴覚障がいのあるメンバー。聴こえても聴こえなくても、騒音の中でも音もたてられない静かな会場でも便利に使えるツールである。来場者とのコミュニケーションにも、スタッフとのやり取りにも活用してみてほしい。

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