新型コロナ対策を前提としたイベントを生み出す[セットアップ・大久保 勇 氏]

インタビューARCHIVE
本記事は2020年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.21で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.21|特集 2021年イベントトレンド予測
新型コロナウイルスの影響から、2020年の春先から早急な変容を求められたMICE業界。現在も感染防止のケアだけでなく、代替案となるオンラインやハイブリッドといった新様式への対応が進んでいる。さらにデジタル・トランスフォーメーション(DX)やニューノーマル体験、SDGsなど、主催者は日々様変わりする社会情勢に対応した変化が求められる。そこで今回は2021年、イベントを開催するうえで押さえておきたいトレンドを紹介。変化に素早く対応した企業事例や、まだイベント業界に浸透しきれていないものの、今後注目が高まるコンテンツを紹介する。

地域の行事やお祭りなどのイベント開催の是非について慎重な姿勢が続く 中、2020年10月30日から11月1日までの3日間、佐倉城址公園(千葉・佐倉市)で「LANDO SAKURA 〜NIGHT FESTIVAL〜」が初開催された。既存イベントに新型コロナウイルス対策を講じるのとは異なり、対策を前提に開催スタイル確立を試みたイベントである点が新しい。開催への強い思いを携え、実現させたセットアップ・大久保勇社長にイベントの振り返りと今後の展望を聞いた。

2020年9月11日の時点では全国的・広域的なお祭り、野外フェス等を開催する場合については、「十分な人と人との間隔(1m)を設けるよう促すこととし、当該間隔の維持が困難な場合は、開催について慎重に判断すること」とされていたが、11月12日の政府の発表で、必要な感染防止策に加え、①身体的距離の確保、②密集の回避、③飲食制限、④大声を出さないことの担保、⑤催物前後の行動管理、⑥連絡先の把握の条件がすべて担保される場合には、入退場や区域内の行動管理が適切にできるものについて、「十分な人と人との間隔を設ける」ことに該当するとし、開催が可能であることが明確化された。

ニューノーマルなイベントを仕掛ける

大久保 勇 氏(セットアップ)

当初、新型コロナの影響で開催が困難になっていたイベントも夏前には再開するだろうと予想していました。しかし8月になってもあまり動きがない。イベント施工を生業にしている当社は、イベントがないと仕事がない。であれば、自分たちが主催してみようと考えたことがきっかけです。イベントを開催しても大丈夫なんだと世の中に知らしめたい、今回のイベントが新型コロナ対策を徹底した屋外イベントとしてのモデルケースになれば。そんな思いがありました。

新型コロナ対策がイベントを設計する

政府や市が発表したガイドラインを参考に計画したのですが、まず参加者のうち代表者が佐倉市民であることを条件にしました。これによって公共交通機関の利用も減り、「全国的または広域的な人の移動」をある程度制限できると考えました。また当日の消毒や検温はもちろん、事前の体調管理は出店や運営スタッフ、出演者、来場予定者の皆さんに対し、独自の登録フォーマットを作成し対応しました。

さらにイベント当日は、会場内でのお金のやり取りを極力減らすために「LANDO コイン」を使用しました。お金を出すのは LANDO コイン販売所のみで、物販や飲食の購入の際は LANDO コインを使用する。それによってお釣りの対応が発生しないため、行列ができにくくなります。コイン売り場だけスタッフ配置を手厚くすれば会場内の密集を防げる工夫です。屋外イベントの新型コロナ対策LANDO はその土地の魅力を演出し、自分たちが住んでいる地域を素敵だと感じられるイベントにしたかったので、佐倉市での開催が決定した際、今も城下町の面影を残す佐倉市をアピールする上でぴったりな城址公園に決まりました。公園といっても会場に入る場所が2か所しかなく、結果的にわれわれとしては来場者の入退場のコントロールがしやすいという点で運営上の都合が良かったです。