〈携帯電話の運用データを分析〉イベントの企画立案は進化する[ドコモ・インサイトマーケティング・森 亮太 氏]

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本記事は2020年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.21で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.21|特集 2021年イベントトレンド予測
新型コロナウイルスの影響から、2020年の春先から早急な変容を求められたMICE業界。現在も感染防止のケアだけでなく、代替案となるオンラインやハイブリッドといった新様式への対応が進んでいる。さらにデジタル・トランスフォーメーション(DX)やニューノーマル体験、SDGsなど、主催者は日々様変わりする社会情勢に対応した変化が求められる。そこで今回は2021年、イベントを開催するうえで押さえておきたいトレンドを紹介。変化に素早く対応した企業事例や、まだイベント業界に浸透しきれていないものの、今後注目が高まるコンテンツを紹介する。

イベント来場者の属性や消費傾向などを分析し、より良いコンテンツを作りたいと多くの主催者が望んでいる。だが、保有するデータが少なかったり前例のない場合、データを活用したイベント計画は困難だ。そのような主催者に手を差し伸べるべく、ドコモ・インサイトマーケティングは自らが保有するデータを利用したイベント開催を提案する。そのサンプル数はおよそ 8,000 万。膨大なデータがイベントにどのような影響をもたらすのか、エリアマーケティング部の森亮太副部長に話を聞いた。

モバイル空間統計

森 亮太 氏(ドコモ・インサイトマーケティング)

モバイル空間統計 ®は、国内約8,000万台 の携帯電話運用データを基に作成される人口の統計情報だ。契約者情報を用いて、性別・年代・居住地の属性を高い精度で把握することができる。日本全国を125m×125mから500m×500mの空間で区切り、エリアに滞在する人の数や属性を取得するシステムで、異なる場所を比較する面的な分析と、同じ場所の時間ごとの動きをみる時系的な分析を行うことが可能だ。さらに世帯年収や趣味といった、ドコモが持つ d ポイントクラブ会員に聞いたアンケート結果を組み合わせた分析にも対応していることから、活用の幅は商圏分析やまちづくり、観光客分析などに広がっている。そして活用先のひとつとしてドコモ・インサイトマーケティングが提案するのがイベント開催のための分析だ。

「モバイル空間統計」は、株式会社 NTT ドコモの登録商標です 2020 年3月末時点

データに基づくイベント企画と効果測定

“どこから”“どのような人が”どれだけ”来たのかという人の動向に基づくデータはイベントの開催場所選定や企画立案で活用できる。森氏はスポーツリーグの会員獲得を図るイベント会場の相談を受け、モバイル空間統計データを使いスタジアムで観戦したファンが行く場所の傾向を調べたときの話を活用例として挙げた。「ホームスタジアムから5キロほど離れた地点にある大型商業施設が高い数値を出していることがわかりました。そこで商業施設でのイベント開催を提案し、実現に至りました」。

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