広い世界に飛び出し「多様性」を学ぶ[乃村工藝社・西田 大介 氏]

インタビューARCHIVE
本記事は2021年2月28日発行の季刊誌『EventBiz』vol.22で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.22|特集 2021年、 大注目のブースデザイナー
商談や新規顧客の開拓、パートナー発掘など、展示会にはビジネスを成功させるためのチャンスが無数に転がっている。そのチャンスを確実にモノにするためには、来場者が「見て」「入って」「体験したいと思う」ブースデザインが重要なカギとなる。本特集では、唯一無二の展示会ブースを生み出す選りすぐりの実力派ブースデザイナーに焦点を当て、その価値観やこだわり、アイデアの源泉を探る。

西田 大介(にしだ・だいすけ)
1983年生まれ。立命館大学大学院 建築計画研究室 修了後、2008年に乃村工藝社入社。現在クリエイティブ本部在籍。一級建築士。これまでCEATEC(日本)、CES(米国)、IFA(ドイツ)など国際展示会で数多くのブースデザインを手掛ける。

みんなを巻き込んで「共創」を実現する

─展示会のブースデザインをする際に、心掛けていることを教えてください

僕が仕事をする上で重要だと考えているのが、「企画の段階からみんなを巻き込む」ということです。みんなというのは、クライアントはもちろん、ブースの施工などあらゆる関係者のことを指します。そして、上下にとらわれないフラットな関係を築くことが「共創」へとつながり、プロジェクトを成功へと導きます。

─「共創」で成功した、印象的なエピソードをお聞かせください

2019年に、ドイツ・ベルリンで開催される国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)に出展するパナソニックのブースデザインを手がけました。英国のデザインチームとの共同作業だったのですが、非常に場の空気づくりが上手いことに驚かされました。彼らはとてもポジティブで、どんなアイデアに対しても「それいいね!」と言って自分たちの糧にしてしまう。するとアイデアを出す方も気持ちよくなって、意見交換が活発になり、やがてチーム全体が一つにまとまっていく。それは今までに味わったことのない感覚で、成功するプロジェクトとは必然的に、関係者みんながハッピーになれるものだと学びました。

─クライアントを巻き込むために、どのようなことをしていますか

クライアントと一口に言ってもそのスタンスはさまざまです。なので、まずは仕事に対するベクトルを揃えることが大切だと思います。例えば、あえてデザインを完成させない状態でお見せし、クライアント側の想像力を刺激すると「ここをこうしたい」とか「ここはもっとこうした方がいい」といったように、自ずとアイデアが生まれます。逆にアイデア出しの段階で、仮想で空間の完成パース図を創って持っていくこともあり、いかに互いが仕事しやすい環境を自ら作り出せるかというのも、デザイナーにとっては重要な資質と言えるでしょう。