大阪・関西万博は半世紀ぶりのターニングポイント[日本ディスプレイ業団体連合会・山口 廣幸 氏]

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本記事は2021年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.23で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.23|特集② 大阪・関西万博への鼓動
「東京一極集中」と言われてきた日本が変わろうとしている。その中核にあるのが、2025 年に開催される大阪・関西万博だ。“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに、人類共通の課題解決に向けた最新の技術やソリューションが集う夢洲の地には、世界中から約2,800万人が訪れると言われている。大阪・関西万博によって社会はどのように変わるのか。最新の動向を追う。

万博は世界中から大勢の人々が集う世紀の大イベントであるとともに、未来社会の姿をわれわれに見せてくれる場でもある。1970年の大阪万博により、業界として確立し、その後大きな発展を遂げてきたディスプレイ業もそのひとつだ。日本ディスプレイ業団体連合会の山口廣幸氏に話を聞いた。

1970 年の大阪万博を契機に飛躍的に発展したディスプレイ業

日本ディスプレイ業団体連合会 専務理事 山口 廣幸

─日本ディスプレイ業団体連合会(NDF)について教えてください

NDF はディスプレイに関する技術の向上、 ディスプレイ産業の健全な発達、消費経済の合理的発達に寄与することを目的として、1968年(昭和43年)に創立、1969年(昭和44年)2月28日に経済産業省所管の社団法人として認可されました。

─NDFと万博との関わりはどのようなものでしょう

1970年に開催された大阪万博はディスプレイ業という産業名称が確立され、NDF が創立されるきっかけとなりました。

─大阪万博がディスプレイ業に与えた影響とは

大阪万博はディスプレイ業に新局面を開きました。マルチ映像、音響と光の自動制御装置、流体制御ロボットなどに代表されるエレクトロニクスの導入です。大阪万博を持って装飾屋の時代に決別し、ディスプレイ業の世界に入ったとされるゆえんです。広告代理店のディスプレイ市場への本格参入、電波、印刷媒体のほか、博覧会、文化施設、企業 PR 施設などの分野の将来性に着目して、巨大なディスプレイ市場を出現させました。ディスプレイ業はその制作部門としてのスタートでしたが、メディアの中でディスプレイの地位を確固たるものにした恩恵は少なくありません。

─大阪万博後のディスプレイ業の変遷についてお聞かせください

大阪万博終了後、業界各社は万博のために肥大化した設備(人的資源)の後始末に苦慮しました。ですが1973年(昭和48年)に制定された百貨店法により出店規制が解除されたことで、百貨店は地方都市への多店舗化が進み量販店や専門店とつながって複合商業施設となり、ミュージアム併設の大型施設が拡大したこともあり、消費ブームに乗るかたちでディスプレイ業は大きく飛躍しました。

2005年(平成17年)の愛・地球博では国際博覧会協会にディスプレイ業界から社員を派遣し、会期中の運営・オペレーション業務、コンサルタント業務までも手がけました。その功績は、後の PPP(指定管理者制度)につながっています。

今後も地球を大切にしたニューノーマルな提案を

─2025年の大阪・関西万博をどのように見ていますか

1970年の大阪万博は世界中から6,400万人以上が集まった想像を絶する規模のイベントで NDF にとってはエポックメイキングな出来事であるとともに、その後の日本経済の高度成長とともに市場と業態を大きく広げて、事業を通して社会に貢献する「ディスプレイ産業」を確立するきっかけともなりました。2025年の大阪・関西万博の開催はわれわれにとって半世紀ぶりにまた大きく飛躍する節目として位置付けたいと願っています。

─大阪・関西万博に向けたNDFの取り組みを教えてください

2019年4月に万博提言委員会を設置し、同年10月に提言をまとめ博覧会協会に提出しました。以降、順次建設的な提案をすべく準備を進めてきましたが、ここしばらくはコロナ禍にあって中座を余儀なくされております。一方で博覧会協会はコロナ禍にあっても大阪・関西万博のロゴマークを制定し、各界多彩なプロデューサーを配し、広報活動を活発にして、東京オリンピック・パラリンピックの次の開催成功目標として夢と希望を掲げ、頑張ろうと檄を飛ばし続けていることに敬意を表します。NDF でもコロナの終息が見えて該当活動が軌道に乗れば改めてメッセージを表明したいと思っています。大阪・関西万博は後の50年に語り継がれるストーリーとなることでしょう。NDF の総力をあげて、地球を大切にした新しい生活様式を提案してまいりたいと考えております。

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