新感覚デジタルミュージアムの体験はどう作られたか[AID-DCC・前田 輝 氏]

インタビュー
本記事は2021年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.24で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.24|特集① イベントはテクノロジーで“こう”変わる
いかに驚きや感動を与え、体験価値を向上させるか。イベント主催者の使命達成を支える立場として、技術者たちは日々イベントテクノロジーの開拓に奮励する。特集ではテクノロジーの使い手と作り手にフォーカス。テクノロジーを使ったユニークな発想や体験のほか、それらを実現させた数々の技術を紹介する。

「ZUKAN MUSEUM GINZA powered by 小学館の図鑑 NEO」(ZUKAN MUSEUM GINZA)が7月16日、東急プラザ銀座にオープンした。図鑑の世界に入り込むという新しい体験は、さまざまなテクノロジーを駆使することで実現した。体験設計を手掛けたAID-DCCの前田輝プロデューサーに話を聞いた。

アニメーションで生き物の生態を表現

前田 輝 さん
AID-DCC プロデューサー/ドライバー

ZUKAN MUSEUM GINZA の大きな特長は剥製やレプリカ、写真などの静的展示が主流の一般的な博物館と違い、アニメーションを使ったインタラクティブな展示を行っている点だ。森や水辺など、自然を模した5つのゾーンで構成された館内は、ゾーンに併せて小学館が発行する図鑑「NEO シリーズ」からピックアップされた生き物たちがアニメーションとなって壁面に投影される。

アニメーションはセンサーと連動させることで、来場者が近づくと自然に生きている生き物同様、生き物が逃げる仕様になっている。映像は時間の経過や天候の変動など、リアルな環境の変化を描写するために1日を24分で表現。「生き物は生息地域だけでなく、昼行性や夜行性といった生態的特徴を持っている。知識を深めるには生息地域を模したゾーンだけでは足りないので、時間の概念を作ることになった」と話すのはクリエイティブ面から施設の体験設計を行ったAID-DCC の前田さんだ。夜間活発になる生き物は夜の時間帯にしか見ることができない。来場者は映像演出によって、静的展示ではわかりづらい生き物の生態を直感的に学ぶことができる。

記録の石を使った体験設計の背景

アニメーションに込められたインタラクティブな仕掛けは、近づくと逃げるというものだけではない。「記録の石」というナビゲーターアイテムが体験価値をさらに向上させている。