「香り演出」でいつまでも記憶に残るイベントを[SceneryScent・郡 香苗 氏]

インタビュー
本記事は2021年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.24で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.24|特集① イベントはテクノロジーで“こう”変わる
いかに驚きや感動を与え、体験価値を向上させるか。イベント主催者の使命達成を支える立場として、技術者たちは日々イベントテクノロジーの開拓に奮励する。特集ではテクノロジーの使い手と作り手にフォーカス。テクノロジーを使ったユニークな発想や体験のほか、それらを実現させた数々の技術を紹介する。

どんなに楽しいイベントも、終わった後に待っているのは日常だ。しかし、ふとした瞬間に「あの日は最高だったな」と思い出す。記憶の中に、イベントはいつまでも残り続ける。その記憶のよすがとなるべく、香りによる演出で舞台を彩るのがSceneryScentだ。

きっかけはジャズダンス舞台 業界初の香り演出専門会社に

郡 香苗 氏
SceneryScent
代表取締役/香り空間プロデューサー

─「香り演出」とはどのようなものでしょう

大きく分けて2つの分野があります。ひとつがアロマによる空間演出で、ホテルのロビーや商業空間などでリラックス効果をもたらすためのものです。そしてもうひとつが香りの特殊効果(特効)で、舞台などで用いることで観客の体験価値向上につながるものです。

かつて香り専門の演出会社というものはなく、特殊効果分野の1つでしかありませんでした。一方、イベント業界では香り演出に対する需要があり、ないなら作ってしまえということで始めたのがSceneryScent です。

─創業のきっかけについて教えてください

私は元々アロマセラピストでしたが、2012年に知人からジャズダンスの舞台を香りで演出してほしいと頼まれたのです。女性をイメージした花の香りということで、作ることは容易でしたが、問題はそれをどう舞台で拡散するかということでした。そこで舞台の特効を手掛けている会社を紹介してもらい、タッグを組む形で演出を行っていくことにしました。

試行錯誤の末、舞台は盛況で終了しました。それを受けて特効会社から今後も一緒にやっていこうと持ち掛けられたのが、今日の事業につながっています。

─その後はどのような舞台演出を手掛けましたか

次に取り掛かったのは児童劇団によるミュージカルで、題目は『ヘンゼルとグレーテル』でした。お菓子の家の香りを作ってほしいとのことでしたが、ジャズダンスの時と違ってそれまでに取り扱ったことのない香りだったため、苦労しました。

食品の香りの場合、必要な知識がアロマとは異なっていたためです。人脈を頼りに個人で香料を作っているパフューマーさんと知り合い、なんとか譲っていただくことができ、子供たちに夢を届けることができました。

3年という時間の末 香り演出装置を完成

─今日では香り演出装置の開発・販売も行っていますが、どのような経緯があったのでしょう

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