『EventBiz』vol.28|特集① 大阪・関西万博に備えよ!
大阪・関西万博の開催まで残すところ1,000日を切った。東京五輪に続く日本経済発展の起爆剤として期待されている大阪・関西万博だが、その準備は既に本格化し企業は2025年を視野にさまざまな取組みを開始している。本特集では大阪・関西万博に向けた国や企業の最新動向を追った。
コロナ禍を経てデジタル技術、とりわけオンラインを活用した社会活動は一気に加速した。万博も例にもれず、2021年のドバイではバーチャル日本館が誕生。2025年の大阪・関西万博ではさらなるビッグプロジェクトとして「バーチャル大阪」が動き出している。その動向について博報堂の宮原広志氏に聞いた。
Profile
宮原 広志 氏
博報堂 アクティベーションディレクター
アクティベーション領域を軸としながら企業のコミュニケーション戦略・クリエイティブ制作に携わり、直近では地方自治体や各種パートナー企業との「都市連動型メタバース」企画・推進に従事。
バーチャルならではの魅力を発信 大阪から「無限の可能性」を
─バーチャル大阪とはどのようなものでしょうか
2021年に大阪府・市が大阪・関西万博開催に先がけて都市の魅力を国内外に発信し、万博への期待感を高める都市連動型メタバースの事業者公募を行いました。それを KDDI、吉本興業、博報堂の3社による共同企業体が受託し制作を行い、2022年からは運営も行っています。コロナ禍を経て DX が声高に叫ばれる中、デジタル技術を用いた都市の魅力発信は非常に重要性の高いものでした。
─バーチャル大阪はどのようなバーチャル都市を目指しますか
バーチャル都市と聞いて連想される姿は大きく2つあります。1つが現実の都市を忠実に再現した世界で、もう1つがゲームのような架空の世界です。バーチャル大阪はそのどちらでもなく、都市の魅力をバーチャルならではの表現で発信する姿を目指します。
例えば大阪市内をモチーフにした「新市街」エリアでは、道頓堀から大阪のシンボルである大阪城を望むことができます。このように、リアル大阪と人々の持つ大阪のイメージを再構成することで、より新鮮な驚きを生み出し、実際に大阪に足を運んでもらうきっかけを作ります。2025年の大阪・関西万博に向けて期待感を高めていくこともバーチャル大阪の役割です。
ライブやイベントが盛りだくさん 今後はさらなるエリア拡大も
─バーチャル大阪ではどのようなことができますか
バーチャル大阪にはメタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」を使ってアクセスすることが可能で、エントランスに入るとまず太陽の塔が目に飛び込んできます。そこから新市街エリアにアクセスすると道頓堀や大阪城、梅田スカイビルといった大阪城のランドマークが各所に並んでおり、バーチャルならではの楽しみ方として建物の屋根に登って街の景色を楽しむといったちょっとしたエンタメ要素も用意されています。バーチャル渋谷ともつながっているため相互の行き来が可能です。
─どのようなイベントが開催されますか
特設ステージを設け、そこでVTuber がライブをしたり、企業イベントを行うことが可能です。アバターでの参加は Youtube で見るよりも没入感があり、みんなで集まって楽しむことで盛り上がりを創出できます。これまでオープニングイベント「ミルクボーイの裏実況 SP!inバーチャル大阪 – M-1グランプリ」、複数の VTuber による音楽・トークライブイベント「au じぶん銀 行 Presents “VITUAL MUSIC LIVE in バーチャル大阪 “」、au の歴代 CM 楽曲アーティストなどが登場するバーチャルライブ「旅立つ君との超応援祭」、ATC 海辺のステージで行われる大阪・関西万博1000日前イベント「ATC TEAM EXPO DAY」などが開催されてきました。
ユーザーが主体的に楽しめる空間へ 共に盛り上げるパートナーも募集
─バーチャル大阪の今後の展望について聞かせてください