日本の文化「祭」の今とこれから[日本お祭り推進協会 リアルジャパン ‘ オン]

インタビュー
本記事は2022年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.27で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.27|特集① イベントの未来とは
人と人とが交流する機運が高まりつつあり、大型イベントにも明るい兆しが見え始めている。多くのイベントたちは、開催形態を変化させながら新しい時代の荒波を生き抜いてきた。“イベント”は将来、それぞれどのような形式を選び取り、どのような進化を遂げてゆくのだろうか。人々に求められるこれからのイベントの在り方と未来像を、各イベントの展望から探る。

日本の「祭」はいつ帰ってくるのだろう。夏も近づく若葉と日差しの下で、そんなことを考える。コロナ禍に突入し、今では通りからお囃子が聞こえる日はなく、街の公園に櫓を立てる人々はおらず、夜空に花火が開かなくなって、およそ2年が経った。この圧倒的な断絶の日常の中で、「祭」は大きな過渡期を迎えている。そこで日本お祭り推進協会リアルジャパン’オンの渡邉松雄氏と中嶋克彦氏に祭の現状と今後あるべき姿について聞いた。

祭が立たされている現状

(L→R)渡邉 松雄 氏 と 中嶋 克彦 氏

祭といわれてまずイメージするのは、大人数で掛け声を合わせて「神輿」を担ぎ、街を練り歩くシーンではないだろうか。祭は「祀る」を語源とし、元々は神様に捧げられる儀式である。神輿は本来神社ごとに所有しているものであり、祭の際には神様に本殿から神輿へと移ってもらい、神様を乗せて町を練り歩くことによって、五穀豊穣、雨ごい、疫病退散を祈る。神輿や祭とは神事のひとつである。

2020年、すべての祭がコロナ禍の影響を受けた。人が密集する神輿では声を上げる特性上、感染拡大防止対策が難しく、ほとんどの祭が約2年間休止している。感染の可能性が低い神事のみを行ったり、神輿をトラックに積んで街中を移動したりと、細々と各地域で活動は行われてきた。しかし、従来通りの祭の形態に復活するまでには道のりが遠いという。比較的感染拡大が落ち着いている今も、神社や町会によっては未だに神事の再開について意見が分かれているからだ。

渡邉氏は「いくら疫病退散を願う行事であるとは言え、やはり大人数で密集することが命の危険につながりかねない以上、多くの神社や関係者は身動きがとれない」と悔しさをのぞかせる。イベントを楽しみたいと考える人だけが限定された空間に入場しイベントが行われるプロスポーツや通常のイベントとは違い、祭はあらゆる人々が行き交う公道で行われる。大型の浅草神社・三社祭も再開を決めるなど復活に向けたわずかな兆しはあるものの、この公道や神社の境内を会場とする特徴が、多くの祭の再開を足踏みさせている。

さらにコロナ禍に直面する数年前から、すでに祭は過渡期にあったという。少子高齢社会への変遷や、一つの地域に長く留まらない生活スタイルの普及など、変わりわりゆく時代の流れから祭への参加者は減少傾向にあり、そこへコロナ禍による2年間にも及ぶ長い休眠期間が大きなショックを与え、祭は従来の形態からの変化を余儀なくされている。

各地のお祭りに駆けつけてきた

日本お祭り推進協会リアルジャパン ‘ オンは、そんな変化の最中にある全国各地の祭を裏方として支援しており、神輿を担ぐ人を集めるほか、自治体の祭への参加者を増やすアドバイスをしている。同会は2020東京オリンピック・パラリンピックの開会式や関連するイベントで神輿を出し、世界に文化を発信したいという思いからメンバーが集まり発足した。