[自創空間+]ホットスケープ・前野 伸幸 氏

インタビュー
本記事は2022年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.29で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。
ホットスケープ 代表取締役 前野 伸幸 氏(まえの・のぶゆき)
Profile|1991年、独立起業当初より、多くの大手企業からのミーティング・カンファレンスなどイベントを直接受注。企画・進行・運営を数多く手掛けている。その一方で、イベント・MICE 施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。COVID-19の影響後は、いち早くオンライン配信に取り組み、現在はイベントの DX 化を牽引している。趣味は旅行・映画鑑賞。座右の銘は「越えられない壁はない」。愛読書は『じょうずなワニのつかまえ方』。

音響業界からイベント業界へ 広告代理店を介さない事業を

高校生の頃にバンドをしていたことから卒業後は音響の専門学校に進み、コンサートの仕事に憧れ PA の道を選びました。そこで展示会や万博の仕事に出会い、興味の幅が広がっていきました。特に印象的だったのがとある時計メーカーのイベントで、いかに商品を魅力的に見せるかという創意工夫に知的好奇心が刺激されました。さらに驚いたのが、そのイベントに広告代理店が絡んでいなかったことです。この出会いは後にイベント会社を立ち上げる私の大きなインパクトとなりました。

イベントの世界に惹かれた私は転職を決意し、イベントホールの運営に携わることになります。年間250日ほど稼働するホールで、そこで働くうちに多種多様なイベントのマニュアルや台本に触れるきっかけを得ました。今にして思えば本当に幸運なことで、そこでさまざまなイベント運営のノウハウを知ることができました。

転機が訪れたのは1991年、私が27歳のときです。バブル崩壊でイベントホールの運営が継続できなくなり、一念発起しホットスケープを立ち上げました。当時、株式会社設立に必要な資本金が40万円から1,000万円に引き上げられることが決まっていたことも、私の決断を後押ししました。

創業の指針となったのがかつての時計メーカーのイベントで、広告代理店を介さないイベント事業をやりたいという想いから、当時広告代理店が手を付けていなかった社員総会や人事・総務関連のイベントにアプローチを仕掛けました。幸いにも大手テーマパーク企業の採用関連イベントを受注することができ、その実績から連鎖的に事業を拡大することができました。

会議室運営で新たなノウハウを 施設のブランドは「人」が作る

最も辛かったのは2011年の東日本大震災による大打撃で、一時は会社を畳むことも考えました。そんな時に新規でご相談を持ちかけてくれたのが森ビルさんで、「今度虎ノ門にカンファレンス施設を作るから、力を貸してほしい」と言っていただきました。きっかけは六本木アカデミーヒルズを利用した際に、「ここはもっとこうした方が使い勝手が良くなる」と伝えたことで、そこからコンサルティングを任せていただくことになりました。機材や料金、メインターゲットの絞り込みなどを行っていくうちに、「最もホールのことを分かっているのだから運営も任せたい」という話になり、コンペを経て運営業務も請け負いました。

虎ノ門ヒルズフォーラムと六本木アカデミーヒルズの運営は、私に新たな気づきを与えてくれました。イベントホールは何もしなければ完成した瞬間から時間が経つにつれてどんどん人気が落ちていくもので、価値を高めるために「人」が重要になります。森ビルには避難動線や搬入出に関わる厳しいルールが存在しますが、そこに「人」が介在し、利用者に不便を感じさせないためディベロッパーから高く評価されています。

ホットスケープの強みはイベントと施設、両方の運営を手掛けることで培った独自のノウハウです。このノウハウは2020年代後半に開業するカジノを含む統合型リゾート(IR)にも活かすことができると考えています。

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