「外に出る」「人と会う」ニーズは不朽[ベルギービールウィークエンド]

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本記事は2021年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.23で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.23|特集① コロナに負けない野外イベント
新型コロナウイルスの流行以来、音楽フェスや食イベントをはじめとするさまざまな野外イベントは、やむなく中止に追いやられてきた。そして今年、野外イベントを求める人々の期待に応えるべく、イベントの復活を発表する主催者が急増している。特集では徹底した感染対策を講じ、中止になった過去の分まで盛り上げようと手を尽くす主催者の姿勢やビジョンを紹介する。

多種類のベルギービールが集う「ベルギービールウィークエンド」(BBW)。今年、名古屋、大阪、横浜、日比谷、豊洲の5会場で開催を予定していたが、緊急事態宣言により延期となった。現在も開催実現を目指し、奮闘するベルギービールウィークエンド主催者に開催の背景や、企画に対するこだわり、今後の展望について聞いた。

ベルギービールのブランディングのために

左から、「ベルギービールウィークエンド」を主催するトレインスポットのマリック・クスタースさん(Founder & Managing Partner)、
ヤン・デ・ボックさん(同左)、内海 偉紀さん(Project Manager)

─ベルギービールウィークエンドはどのような背景から開催されたのですか

ヤン ベルギービールのブランディング、マーケティングのためにスタートしたイベントです。私がベルギー出身ということもあり、日本にベルギービールをPRするにはベルギーらしさのあるイベントでと考えていました。そこでベルギーで開催している「ベルギービールウィークエンド」の主催者に許可をもらい、同じ名前で開催することになりました。初開催は2010年。六本木ヒルズで行いました。本国のビールイベントと同じような雰囲気にしたかったので、会場は屋外を使うことにしました。「六本木でビールイベント? 雰囲気がマッチしていないのでは?」という声もありましたが、六本木のイメージに合うコンセプトにして、高級感を出しました。

マリック 日本のイベントは“祭り”の印象が強く、ごちゃごちゃとしているイメージです。そのときはベルギービールのブランディングが目的ですから、“オシャレ”で“高級感”を打ち出したかったのです。

ヤン 初開催にもかかわらず1万5,000人が来場するという結果になりました。それ以降は年々規模を拡大しながら様々な地域で開催しています。最も多く開催したのは2016年で、8都市で実施しました。初開催の2010年からこれまでの約10年間で開催した数は合計53回、総来場者数は130万人に上ります。

─イベントの企画でこだわっている点を教えてください

ヤン やはり“体験”でしょう。イベントを使ってブランディングするうえで欠かせない要素です。開催中だけでなく参加前から参加後まで、イベントを体験してもらうことが重要と考えています。例えば、ベルギービールの知識がない人、これまで参加したことがない人はどのビールを購入すれば良いのかわかりません。そこでどのようなビールが出品されているのか、味の特徴など、参加前にベルギービールについて学べるガイドブックや公式アプリを充実させています。購入も独自のシステムを導入しています。ビールを買うときに現金ではなくオリジナルのコインを使ってもらうことで非日常感を出しています。来場者は初めにオリジナルのグラスとコインを最初に購入してもらい、出店者への支払いはコインで行うというものです。オリジナルグラスにもこだわりがあります。カップをデポジット制にしているイベントもありますが、デポジット制は運用が少し面倒ですし、プラスチックカップを利用する場合はビール本来の美味しさが発揮できないなど、問題点がありました。そこで我々はビールのグラスをチケットとセット販売しています。とても人気で、毎年デザインが変わるので、コレクションしている人もいるほどです。購入したグラスを使うので、2杯目のビールを購入するときはビールが混ざらないようにしなければいけません。そのために導入している人気のシステムが「グラスリンサー」です。グラスを逆さまにして置くと、水が出てきてグラスを洗うという電気不要のシステムを設置して、来場者に洗ってもらいます。ベルギーのバーにはよくあるのですが、日本では珍しいようで、イベントならではの体験として楽しんでもらっています。

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