『EventBiz』vol.21|特集 2021年イベントトレンド予測
新型コロナウイルスの影響から、2020年の春先から早急な変容を求められたMICE業界。現在も感染防止のケアだけでなく、代替案となるオンラインやハイブリッドといった新様式への対応が進んでいる。さらにデジタル・トランスフォーメーション(DX)やニューノーマル体験、SDGsなど、主催者は日々様変わりする社会情勢に対応した変化が求められる。そこで今回は2021年、イベントを開催するうえで押さえておきたいトレンドを紹介。変化に素早く対応した企業事例や、まだイベント業界に浸透しきれていないものの、今後注目が高まるコンテンツを紹介する。
大企業とスタートアップ企業の協業を促すアジア最大のオープンイノベーションマッチングイベント「第8回イノベーションリーダーズサミット」(ILS)が2021年3月3日から虎ノ門ヒルズ×オンラインで開幕する ※1 。大企業100社とスタートアップ600社が参加し、イベント期間中はマッチング(商談)やピッチイベントなどが予定されている。
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ハイブリッド型の運営
今回の ILS はコロナ禍での運営のため、リアル(対面)とオンラインの組み合わせとなり、運営方法の変更を求められた。ILS 事務局・ディレクターの柴木仁美氏は「会場の利用方法が制限されたため、オンラインを導入せざるを得ませんでしたが、この機会にオンラインならではの仕組みを利用して商談件数をさらに伸ばしたい」と話す。従来のマッチングは対面における商談のみだったが、今回から対面(20分)とオンライン(60分)を選択できるようにし、また海外スタートアップとの商談を大幅に強化することを決めた。特に海外の参加企業は前回160社から300社に急増することが見込まれており、遠隔地に足を運ばなくても商談できるオンラインの特性とそのメリットをフルに活かす構えだ。
一方、200社以上がプレゼンテーションするピッチではオンラインのデメリットも生じる。リアルであれば心に刺さるような力強いプレゼンが繰り広げられるし、スピーチ後の名刺交換の機会もあるが、オンラインではどうしても対面ならではの恩恵を受けることができない。「オンラインではオンラインならではの利点を活かし、プレゼンテーションの撮り直しや足りない資料の追加などが容易になることから、リアルではできなかった新たな運営手法を試みます」と柴木氏。そのため今回からは専用サイトを構築・充実させて、国内外の有望スタートアップによるピッチを LIVE 配信するとともに、個別コンタクトをとることも可能とし、従来にはなかった機能を利活用することでピッチの質を高める取り組みに挑戦する。
年々増加するマッチングを目指して
オープンイノベーションを進めるためには大手企業とスタートアップの連携が欠かせないため、お互いが対等の立場で商談に向き合う必要がある。そして短い時間での商談を有意義なものにするため、ILS ではミスマッチの起きない仕組みを参加者に提案する。具体的には、参加者が事前に専用サイトを通じて大手企業・スタートアップ企業の双方が商談リクエストを行い、事務局が間に入ってセットアップするのである。「ILS の大きな特徴は誰もが参加できるイベントではなく、ベンチャーキャピタル(VC)など国内外で構成するアドバーザリーボードの推薦が必要なこと。参加企業は最初から厳選されたレベルの高いスタートアップ企業ですから、大手企業も安心して商談できる環境が整っています。また、スタートアップは代表者の参加が必須のため、大手企業は見定めたスタートアップとの高確率なマッチングを実現できるんです」。(柴木氏)