新時代の映像オペレーションが引き上げるイベントの価値[シーマ]

インタビュー
本記事は2022年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.27で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

「オンラインはリアルの代替ではなく、補完するもの」。オンライン開催を経験したイベント主催者の多くが口を揃える。リアルイベントが復活している今、改めてリアルイベントの価値を上げる視点からオンラインの活用について考えるべきではないだろうか。そこでオンラインに不可欠な映像配信の専門家であるシーマの坂本光チーフテクニカルディレクター(プロジェクト推進室ネットワーク事業推進)と田井源太郎アドバイザー(同左)に話を聞いた。

映像配信でリアルイベントの価値向上

オンラインという選択肢が以前よりも存在感を増すようになったことで、リアルイベント関係者はこれまで以上にリアルがもたらす効果を来場者やスポンサーにアピールする必要が出てきた。イベントの価値の再構築と価値向上が当面の課題ではないだろうか。

オンラインイベントの強みは時間や場所の制約がないことで、集客やフォローに効果的な点だ。一方でコンテンツの理解を深めるという側面では体験に強いリアルが得意とするところ。つまりオンラインで新規の参加・認知層を獲得しつつ、リアルで開催し、もしリアルで補えないコミュニケーションや体験の部分があればオンラインで補完していく。これが今のイベント価値を上げる、理想のかたちの一つかもしれない。一見難しそうに見えるが、実はすでにオンライン開催に欠かせない要素である映像配信を使ってリアルイベントの価値向上を目指す動きがある。

シーマの新しい映像オペレーションを支えているのが Panasonic の IP スイッチャー「KAIROS」だ。最大32の映像・音声等をインプットし、自由に組み合わせて20のチャンネル(ch)に出力できる。機材間はLAN ケーブルで接続でき、映像管理をクラウド上でも行えるため、遠隔地からオペレーション業務を行える。「リモートで管理できるので安心して現場を若手にまかせられるようになった。複数の現場を効率的に見て回ることができる」(坂本さん)

会場施設も配信力を強化

国内有数の国際会議の開催・誘致実績を持つ国立京都国際会館は昨年、新たに IP 映像オペレーションという新たな技術を採用し、オンライン配信力を強化した。そしてこの新しい技術を使って、映像の視点からイベントの価値向上を図っているのが、国立京都国際会館の映像登録事業者であり、イベント映像機材レンタル・オペレーションを手掛けるシーマだ。

進行の効率化と密回避に

坂本 光
シーマ プロジェクト推進室ネットワーク事業推進
チーフテクニカルディレクター

さまざまな機器を用いて入力した映像や音声を進行に合わせて切り替えたり、テロップを追加したりする映像オペレーション。リアル・オンラインに関わらず MICEの分野でもプレゼンテーションをはじめとした映像演出は時代を問わず行われており、演出は多岐にわたる。イベントのクオリティを左右すると言っても過言ではないほど、映像が与えるインパクトは大きい。つまり新時代の IP 映像オペレーションサービスは重要な役割を担っていると言える。

シーマが新しいオペレーションに踏み切ったのは昨年のこと。「プロジェクターや大型 LED の高解像度化は、より鮮明な映像や凝った演出のニーズを満たすことができる一方で、制約もあった。例えば映像が進化するほど修正も大変で、リハーサル中に変更や修正が入った場合、メインオペレーターが修正を終えるまで、すべての進行を止める必要があったうえに、トラブルに備えて現場に大人数のオペレーターを手配していた。しかし昨今は密回避や作業効率が求められるようになり、主催者を含めた現場の動きを改善できる仕組みが必要だった。そこで新しいオペレーションを模索した」と話すのはシーマの坂本光チーフテクニカルディレクターだ。

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