ロボットがイベントの戦力になる日

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本記事は2018年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.13で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

「スタッフが足りないなぁ」「コストが掛かり過ぎてる」「そんなにステージプログラムなんて思いつかないよ」。イベント業界が慢性的に抱える悩みに「任せてください」と手を挙げるのは、ロボットかもしれない。ロボットの導入は自動車工場や物流倉庫のみに留まらない。ドローン、自動運転、無人コンビニ。あらゆるメディアから飛び込んでくるニュースが、その事実を教えてくれる。イベントにも、もうじきロボットたちがやってくる―。イベント業界におけるロボットの可能性について、その発展の歴史と現状を探る。

ザ フューチャー・イズ・オールレディ・ヒア

「君、カタいなぁ。いいんだぞ、もっと肩の力を抜いても」「すみません。僕、ロボットなもので」。

こんな未来を、想像したことはあるだろうか。

ロボット。世界中の人々がこの存在に憧れて久しい。

今でもSFの中では特に人気のモチーフのひとつで、ロボットといえばSF、SFといえばロボット。そんなイメージすら定着しているように思う。

「ロボット三原則」という言葉を、チラリとは聞いたことがあるのではないだろうか。これはSF界の巨匠アイザック・アシモフの小説『われはロボット』に登場する言葉で、

①ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
②ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
③ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない

という、ロボットが従わなければならない3つのルールだ。

作品の中でこの取り決めに従おうとするも、矛盾し葛藤するロボットの姿が、フィクションのエンターテインメント性を引き上げ、人々を夢中にさせる。

ロボットは度々強力な存在として人間に反逆し、また時に人間を庇護する。人間もそんなロボットたちを破壊し、あるいは友情を育み、たまに恋もする。スターウォーズのR2-D2とC-3POのコンビや、インターステラーのTARSといったキャラクターたちは、いつも魅力たっぷりだ。

かつて物語の中で夢の技術として登場したテクノロジーは、すでに実現しているものもあれば、まだ実現していないものもある。

IoT、AI。ほぼニュースで聞かない日はない。これらに対する世の中の注目と急速な技術の発展が、ロボットの進化をも加速させ、「シンギュラリティ(技術的特異点) ※1 」「ロボットたちが我々の仕事を奪い、世界を支配する」といった言葉にも真実味を帯びさせる。先日亡くなったイギリスの理論物理学者、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士は生前の講演で、AIの進化が人類にもたらす脅威について言及していたという。

現実のすぐ真後ろから、SFの足音が聞こえている。

※1シンギュラリティ(技術的特異点)
人工知能が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるという概念のこと。

ロボットと仲良しの日本人

『われはロボット』が刊行されたのは1950年。昔から人々はロボットに畏怖の念を抱いてきたし、夢を預けてきた。特に日本人とロボットの歩みは、世界でも指折りの長さである。

ロボットといわれると、鉄腕アトムのような人型のロボットや、ドラえもんのようなキャラクター性の強いロボットを想像してしまいがちだが、日本におけるロボットの原点は腕だけのロボットだ。