リアルタイム音声翻訳アプリ開発者に聞く、誰もが感動を共有できるイベントの条件[シャムロック・レコード]

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本記事は2020年2月29日発行の季刊誌『EventBiz』vol.18で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.18|特集② 誰もが参加できるイベントを実現するために
東京 2020 パラリンピック開催を控え、いかなる人でもイベントへの来場や参加が気軽にできるようなサービス・ツールが増え、イベントや会場での導入が進んでいる。多様な人が集い、多様な価値観が交錯する、価値あるイベントの実現をサポートする事例やツールを紹介する。

今日、ほとんどのイベントでは著名人を招いたトークセッションやセミナーが行われており、そこでしか聞けないとっておきの話を楽しみに来場する参加者も少なくない。そんなステージを障がいの有無や国籍を問わず、誰でも楽しめるようにと開発されたアプリが「UD トーク」だ。開発者であるシャムロック・レコードの青木秀仁氏に話を聞いた。

言葉が聞こえない人とも円滑なコミュニケーションを

青木 秀仁 氏(シャムロック・レコード)

─UDトークを開発したきっかけについて教えてください

もともと音声認識を開発する企業で働いていて、議会の議事録で使う製品を作っていました。そんな中、2011年に障がい者団体から「スマホと音声認識を組み合わせて、障がい者の生活を豊かにできないか」という講演の依頼を受けたんです。依頼者も話すことはできるけど聴覚に障がいがあって、やり取りを続けるうちに「確かに音声認識システムを使えば、もっと円滑にコミュニケーションを図れるな」と感じました。その経験が、UD トーク開発のきっかけです。ですから、よく誤解されるんですけど、UD トークは障がい者の方に向けたアプリではなく、障がい者と接する側、彼らに思いを伝えたいという人の要望を叶えるものなんです。

─青木さんは2011年の起業から今日まで一人でUDトークの開発を進めてこられましたが、開発は順調だったのでしょうか

2013年にリリースしましたが、とにかく粗削りながらもプロトタイプを仕上げたのを覚えています。最近では音声認識の精度というものは飛躍的な向上を見せていますが、当時はまだ全然で、UD トークもリリース直後はあまり注目されませんでした。ただ、技術者として音声認識の精度はそう遠からず向上すると確信していたので、焦るということはなかったですね。そこから今日に至るまで、ユーザーからのフィードバックを受け、実際に自分でも使ってみて、常に使い勝手のいいアプリにするためにブラッシュアップを図り続けています。UD トークが採用している音声認識エンジン「AmiVoice(アミボイス)」もかなりの高精度で、今では多くの企業・団体から重宝されるようになりました。