ブースデザイナーが一番こだわるべきは出展者の成果を上げること[SUPER PENGUIN・竹村 尚久 氏]

インタビューARCHIVE
本記事は2021年2月28日発行の季刊誌『EventBiz』vol.22で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.22|特集 2021年、 大注目のブースデザイナー
商談や新規顧客の開拓、パートナー発掘など、展示会にはビジネスを成功させるためのチャンスが無数に転がっている。そのチャンスを確実にモノにするためには、来場者が「見て」「入って」「体験したいと思う」ブースデザインが重要なカギとなる。本特集では、唯一無二の展示会ブースを生み出す選りすぐりの実力派ブースデザイナーに焦点を当て、その価値観やこだわり、アイデアの源泉を探る。

竹村 尚久(たけむら・なおひさ)
SUPER PENGUIN 代表取締役。2005年、インテリアデザイン事務所を設立。ブースデザインを行う傍ら、集客ノウハウを含めたブース作りのセミナーを開催。最近は新しい時代に即した展示会を模索する「PHESE」も主催するなど、精力的に業界のための活動を行っている。

天職との出会い

─デザインの世界に飛び込んだきっかけを教えてください

幼いころからよく、家族や友人といった周囲の人々から建築の道を勧められていました。引っ越しが多かったために、引っ越す度に家の間取りを平面図に書き起こして遊んでいるような少年だったからでしょうか。周囲の予想通り、大学では建築を学び卒業後はゼネコンに就職して、ビルやマンションの設計をこなす毎日を過ごしていました。

─展示会ブースとはどのように出会ったのでしょうか

ゼネコン勤務時代の仕事は、基本的にやりがいはあったのですが、どこか物足りなさを感じていました。入社して8年程経った時、もっと住まい手に近く関われる仕事がしたいという考えに至り、インテリアデザイナーとして独立しました。独立してからの数年間は、私にとって試練の時期、苦労の連続でした。家具や住宅のリフォームなどの仕事を重ねても利益は少なく、2年間自分の給料はゼロ。また、これまで感じていた違和感もまだ消えていませんでした。いよいよ会社を畳むしかないという瀬戸際に“展示会ブースデザイン”に出会ったのです。

実は、以前から、副会長を務めていた東京インテリアプランナー協会が主催する展示会のブースを、年に数件ですがデザインしていました。この瀬戸際で、そのブースデザインに特化することに思い至りました。急いでホームページを展示会に特化した形にリニューアルし、はじめは1小間・2小間といった小さなブースデザイン専門の会社として売り出しました。さらに各展示会の公式ページの出展者リストを調べ、およそ1万通の DM を発送したところ、途端に仕事がいくつも舞い込んできたのです。

展示会のブースは、数年単位で動くゼネコンのプロジェクトとは違い、スパンが短く「デザインの結果」がすぐに出ます。また、より細やかに人の行動や心の動きを扱う空間でもあります。今までの迷いの気持ちは一切無くなり、仕事が楽しくて仕方ない、という気持ちに変わりました。まさに天職との出会いといったところでしょうか。

─手掛けた仕事のうち印象に残っているものはありますか

ギフト・ショーの「NIPPON QUALITY」ブースです。2014年から出展者やデザイナーに向けてセミナーを開催していますが、沖縄で開催したセミナーが好評となり、中小機構でもセミナーを行うことになりました。これこそが「NIPPON QUALITY」の出展者向けセミナーでした。2回目からはブースデザインも担当し、多くの中小企業の商談を成功させることができました。

心の動きをデザインする

─デザインで大切にしていることはなんですか

まず、来場者目線であること。そして「空間デザイン」として考える、ということです。モチーフを決めて「外観形状」から作り込んでいくのではなく、心理学に従ってデザインを作り込みます。来場者がブースに対してどのように感じてどう動くか、どう来場者をブースに引き込むか等を基準に、形状やサイン・グラフィックそして照明効果を決めていくのです。