立ち直り、歩きだすための準備はできている[メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン・小原 暁子]

寄稿
本記事は2021年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.24で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

今回のコロナ禍はドイツの見本市業界にとって、いまだかつて経験したことのない衝撃でした。リーマンショックや欧州債務危機の際にも多少の後退を余儀なくされましたが、今回に比べたら微々たるものです。経済的打撃はもちろんのこと、「人が集まって商談する」というビジネスモデル自体がチャレンジされたことは、業界に生きてきた人間の足元を崩し、お先真っ暗な気分にさせるのに充分以上の力がありました。
しかし、1年半を経て、ドイツはいよいよ再開にむけて動き出しています。この現状をここにお伝えします。なお、特に言及がない場合の数字は AUMA(ドイツ見本市協会)発表のものを使用しております。

2020 年・2021 年のインパクト

2020年3月以降、一部の例外を除いて見本市のカレンダーはまず修正で真っ黒に、その後真っ白になりました。2020年は予定されていた368本の7割が延期・キャンセル、50本が何らかデジタル化されました。2021年は7月初旬の段階で、予定380本のうち220本がすでに延期・キャンセル、55本のオンライン化が発表されています。

これによる経済損失は累計で400億ユーロ(約5兆円)、ドイツ連邦政府の税収は30億ユーロ減収、15万人の雇用がリスクにさらされているという試算が発表されています。ドイツのメッセ会社はその多くが、市や州を大株主に持つ第三セクター的な企業体で、雇用確保への期待も大きいものがあります。メッセ・デュッセルドルフはいち早く「雇用は必ず守る」と全社員に通達しましたが、違う路線を取らざるを得なかったメッセ会社もありました。

厳しい短時間勤務体制のなか、相次ぐ延期やキャンセルに伴う業務と並行して、なんとかデジタル化も進めなくてはならない。2020年11月の MEDICA/COMPAMEDはメッセ・デュッセルドルフ初のオール・オンラインイベントとなり、今年4月には virtual.drupa がやはりオンラインで開催されました。経験値を積み、メッセ・デュッセルドルフも今後デジタルイベントの比重を強化していく方針ではありますが、「リアルイベントに取って代わるものではない」という声が現状、出展・来場側として参加する業界からも寄せられています。「1年半を経て、もうオンラインには飽き飽きしている」という声が、メッセ会社や業界関係者にとっての励みになっているのは確かです。

現在のドイツはどんな状況?

ドイツでは「7日間指数」、直近1週間での10万人あたりの新規感染者数を基準に対応が決められています。デュッセルドルフのある NRW 州では、メッセ・会議については以下の対応となっています。

(ア)7日間指数が35.1以上の場合:最大500人までであれば開催が可能(要・陰性証明)。
(イ)7日間指数が10.1~35の場合:参加者1,000人までを上限に開催が可能(要・陰性証明)。
(ウ)7日間指数が0~10の場合:制限なし(州の感染段階が「段階0」の場合)。

日常生活においては、たとえば数値が35.1 〜 50であれば、レストラン内での食事に陰性証明が必要となります。このため、あちこちに1日2回まで無料の抗原検査場があり、15分ほどで結果が出ます。