『EventBiz』vol.25|特集① 最新のイベント・MICE会場を知ろう!
大型イベント・展示会・MICE・コンサートの開催に欠かせない会場。イベントが開催されるたびに多くの人々が集い、交流する場となる。地域を流動させることから、施設は大きな経済効果を生む起点として、世界中の国々で次々に誕生している。特集では、国内外の施設にフォーカスし「コロナ後の展望を拡げたい、新戦略を見つけたい」という将来に向けた声が聞こえ始めた今、新たな催事をプランニングするために必要不可欠な“場”の最新情報をお届けする。
11月1日、長崎市の大型 MICE 施設「出島メッセ長崎」が開業した。開業式典には、およそ500人の関係者が参加。その後は一般公開が行われ、約1000人の市民が施設を見学した。
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出島メッセ長崎は長崎駅西口側に位置する大型 MICE 施設で3400㎡のイベント・展示ホール、2700㎡のコンベンションホール、大小24の会議室を備える。式典は指定管理者「ながさき MICE」のほか、施設に隣接し同日に開業したヒルトンホテル長崎、新社屋「NBC ビル」での本社機能をスタートさせた長崎放送(NBC)の3者が主催。長崎駅西口側に並ぶ3施設の門出を祝った。主催者挨拶で登壇した田上富久長崎市長は「長崎市は今、100年に一度と言われる街づくりの進化が進んでいる」と切り出し、西九州新幹線が来年開通することや長崎駅周辺の再開発が進んでいることをアピール。「新しい人を集め、新しいレベルのもてなしをする場として施設計画を進めてきた。3者は長崎の発展に意欲的な仲間として一緒に取り組んできた。施設の完成は長崎のスタートになる」と話した。
出島メッセ長崎は施設への誘客だけなく、街に訪問するきっかけとして機能する“まちMICE”という考え方をもっていることから、田上市長は「MICE 開催後に街に出かけ、飲食を楽しんでもらえるように、施設の MICE 効果を長崎全体に広げていきたい。 “平和”や“医学”など長崎が強い分野を磨き、その分野が世界で発展するために貢献をしていく街づくりを進めたい」と抱負を語った。また今年、長崎開港450周年を迎えることから、これまでの歴史を振り返り「出島メッセ長崎は昭和の観光地から、21世紀の交流都市へと脱皮していくための施設。会議、イベント、スポーツなどを開催して、新しい客層を増やすことで人口減少の時代に長崎に賑わいと活力を作っていく場所となっていくようにしていきたい」と施設を軸にした街づくりに意欲的な姿勢を示した。
ヒルトン長崎を運営するグラバーヒルの松藤章喜代表取締役社長は「出島メッセ長崎の交流拠点としての活動、長崎の活性化という大きな目標をともに担っていく」と述べ、新たな賑わい創出のために長崎市街と3者での連携に前向きな姿勢を示し、「コンベンションをはじめとする、さまざまなイベントを成功させ、日本全国、世界中に長崎のすばらしさを伝えていきたい」と語った。続けて NBC 長崎放送の東晋代表取締役社長は「少子化進む日本の地方都市にとって明るい未来の扉を開けるのは容易ではないと言われているが、100年に一度の大変革期を迎えている長崎はピンチをチャンスに変えることができるポテンシャルの高い恵まれた都市。長崎の情報文化を発信する企業として長崎発展のために尽力していく」とコメントした。
来賓の中村法道長崎県知事は3施設が「地域活性化の大きな起爆剤となる」と期待を示し、西九州新幹線を控えて長崎市を中心とした沿線駅周辺地域に変化が表れていることから「新幹線開通の効果を最大限に高め、経済効果を広く全域に波及させるためアクションプランを定めて実践に取り組んでいきたい。佐賀県とも連携してデスティネーションキャンペーンに取り組んでいく。『もう一度長崎に行きたい』と思っていただけるようリピーターの確保に全力を注いでいく」と続けた。
出島メッセ長崎の指定管理者として2017年に優先交渉権の選定を受けた事業者グループながさき MICE の友池昌寛代表取締役も登壇し、「国内外に誇れる交流拠点が完成した。交流人口拡大、訪問客の県内回遊による経済活性化の一端を担っていけるように3者で連携していきたい」と語った。
式典では長崎検番や長崎の打楽団・瑞宝太鼓によるパフォーマンスが披露された。テープカットは屋外で行われ、NBC が中継。式典会場であるコンベンションホールにその模様が映し出された。長崎市の再開発は今後も続き、長崎駅東口側にホテル機能を備える「新長崎駅ビル」が2023年に開業を予定しているほか、長崎造船所幸町工場跡地にサッカー専用スタジアムやホテル、アリーナなどの機能を備える開発計画「長崎スタジアムシティプロジェクト」などが2024年開業に向け進行中だ。