今の展示会の使い方を見極める[雲野 一鮮 氏]

インタビュー
本記事は2023年2月28日発行の季刊誌『EventBiz』vol.30で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.30|特集② 展示会のプロに聞く! 出展成功のカギ
集客や接客、展示手法、予算、社内体制・教育、計画の立て方、効果測定、展示会の選定、海外出展成功のコツ……など、さまざまな悩みを持つ出展者に向け、展示会のプロに出展のヒントを聞きました。

展示会は以前と比べて大きく変わったのだろうか? それとも、あまり変わっていないのだろうか? 少なくとも人々の展示会に対する考え方が大きく揺らいでいると実感できる現在、「展示会」という機会を、どう使いこなしていくべきか。空間デザイナーでアートディレクターであり、アートユニット・fRAum®︎(フラウム)としても国内外で活躍する雲野一鮮氏に聞いた。

Profile

クモノデザイン 代表取締役  雲野 一鮮 氏

相応しい見せ方で、関心のある人に届ける

展示会の会場内は、相変わらず多くの商材や競合商品であふれている。その中で来場者に見つけてもらうには、どうしたらよいのだろうか。雲野氏は「自分たちにしかできない唯一の技術や製品を出展者が持つことと、それらについて相応しい見せ方をすることが重要です」と話す。以下、ブースの作り方やマーケティングの視点からポイントを紹介する。

①情報を絞る

まず、ブースで何を一番伝えたいか、一番見てもらいたい商品や技術は何かはっきりさせること。そのためにも、展示商品と情報は極力絞っておきたい。一瞬で何の技術、あるいは商品を扱っているかが伝わるようなブースが好ましい。来場者は限られた時間で、できるだけ多くの情報を収集したいと考えるため、一社に費やせる時間はわずかであり、出展者側もそれを考慮して戦略を立てなくてはならない。

「来場者がブースの前を通り過ぎる数秒間に、足を止めてもらう要素が必要です。ブースに入ってもらえなければ、どんなに素晴らしい商品も伝えることができません」(雲野氏)。

出展者側が伝えたいことや見せたい内容の優先順位を明確にしたうえで、見やすさと分かりやすさを心がけることが重要だ。会場の動線や小間位置によっても空間のゾーニングやレイアウトは変わってくるが、何を訴求したいかによってブースデザインや展示方法は大きく変化する。また情報を絞るという点において、文字だらけの説明パネルや、展示物が多過ぎることも避けたい。機会損失とならないよう関心のありそうな来場者(見込み客)だけに限定的に段階を踏んで、QR コードが記載したリーフレットを渡すなど、商品バリエーションの紹介や詳細情報の提供を行う方がよい。

②マーケティング・ブランディングの視点から俯瞰して考える

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