『EventBiz』vol.30|特集② 展示会のプロに聞く! 出展成功のカギ
集客や接客、展示手法、予算、社内体制・教育、計画の立て方、効果測定、展示会の選定、海外出展成功のコツ……など、さまざまな悩みを持つ出展者に向け、展示会のプロに出展のヒントを聞きました。
展示会で声をかけたのに素通りされて悲しかった。展示会を頻繁に利用する出展者ならばそのような経験をした人も少なくないだろう。「とにかく元気に!」というのも大事だが、展示会の接客には成否を分けるコツがある。これまで数多の展示会で接客指導をしてきたシャベリーズの丸山久美子氏に秘訣を聞いた。
Profile
シャベリーズ 代表取締役
展示会専門接客トレーナー
丸山 久美子 氏
展示会では「第一声」が大事 相手のリアクションを引出そう
─丸山さんの経歴を教えてください
18歳の頃にイベントコンパニオンとして活動を始め、アンケートやチラシの配布をしていました。人前で話すことに憧れがあったため、20歳になってからはナレーターや MCもするようになりましたが、独学だったこともあり最初は原稿を暗記してもなかなか足を止めてもらえず、どうしたら話を聞いてもらえるか模索し続けてきました。20年間で3,000件以上のイベントを経験し、2015年からは講師として活動するようになり、2020年に株式会社シャベリーズを設立しました。
─事業内容について教えてください
展示会の出展者を対象に接客指導をしていて、セミナーの講師や現場でのレクチャーも行います。地方自治体や商工会議所からの依頼が多いです。出展者の中には思うような成果が出せず、出品物の並べ方やブースデザインに苦労されている企業も少なくありません。ですが、成果が出ない原因は接客がきちんとできていないことがあります。
─展示会ではどのような接客をすれば良いのでしょうか
まず大事なのが第一声目、言い換えれば声のかけ方です。よくあるのが「いらっしゃいませ」「こんにちは」といった声のかけ方ですが、これは非常に身構えられる声のかけ方と言えます。そうではなく、「●●の新商品です」「これ使ったことありますか」と言ったように相手から自然とリアクションを引き出す声かけをすれば、相手の方から「実は~」のように話を切り出してくれるでしょう。
また、見込み客が理解しやすい言葉を使った商品説明の方法や、アポイントの取り方なども指導しています。
自分たちに足りていないもの ロールプレイで気づきを得る
─接客指導を行うにあたり、どんなことを心掛けていますか
まず自分たちの接客に何が足りていないかを自覚してもらうことです。人は否定されることを嫌いますので「これが違う」といった指導はせず、実際にロールプレイをしてもらい「今のところは何が良くなかったと思いますか」と自分で考えてもらいます。
また、出展前にセミナーを行いますが、その場で相手の心をほぐすことも意識しています。講師用の控室で出番を待つのではなく、受付や扉の前で参加者を出迎えるようにしています。そのせいでよくスタッフに間違われますが、それで緊張はほぐれます(笑)。
─展示会での接客と普通の営業との違いは何だと考えていますか