業界で活躍する女性の姿を追う
異業種からの転職 未知の領域への挑戦
2015年㈱横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)に入社。会議運営サポート業務を経験の後、国内・国際会議の誘致に携わる。第2回 ICCA AP Summit 2020(国際会議協会 アジアパシフィック部会サミット)の誘致・開催や、横浜グローバル MICE フォーラムの企画・運営などを担当。趣味はテニス。
村山さんがパシフィコ横浜に入社したのは2015年のことだった。異業種からの転職で、コンベンションの知識はほとんどなかったが、自身の英語力を活かした営業ができるのではないかという期待があった。また単純に商品を売るのではなく、場所を作っていく、地域に根差した仕事ができる点にも興味があった。
転職後は当然ながら、今まで関わったことのない様々な関係者との知己を得、自身の世界が広がった実感を得ることができた。国際会議の誘致を担当するセクションでの勤務だったが、国際会議の誘致は簡単ではない。施設の強みや弱みをしっかりと把握し、その上でどのように開催メリットを提案できるかを毎日のように考え続ける必要がある。そうまでして準備しても、ほんのわずかな差で他都市に敗れることもあった。非常に難しい仕事だが、誘致が決まった際の喜びは格別だった。
この仕事をしていなければなかなか会うことのできない研究者や大学教授と言葉を交わす機会に恵まれるのは、この仕事の得がたい点であると思う。先生方と交流するなかで、過去に教科書で覚えた知識が、生き生きと現実の姿を帯びて立ち現れるような瞬間があるのは、なんとも刺激的である。
忙しくも楽しい日々は瞬く間に過ぎていった。これからもそんな日々が続くと信じていた。だが2020年に入り、新型コロナウイルスによるパンデミックが起き、状況が一変してしまった。
多くの会議が延期・中止に ハイブリッド化で活路を拓く
国際会議は誘致から開催までに長い時間を必要とする。そのため、村山さんが入社してから誘致してきた国際会議のほとんどすべてが新型コロナにより延期、最悪の場合は中止せざるをない状況となった。それでも、とにかくやれることをやるしかなかった。
国際会議はオンライン化が進んだが、施設で働く村山さんにとって完全なオンライン化は見過ごせない事態であり、いかに少しでも会場を使ってもらいハイブリッド開催に漕ぎつけるかが問われた。幸い、学会の先生たちも「本当はリアルで開催したい」と言ってくれ、何度も協議を重ねる機会を得た。結果として完全オンライン開催になってしまったものもあるが、一度オンラインを挟み、その後に再びパシフィコ横浜で開催することが決まった国際会議もあった。
試行錯誤を続けていくうちに、ハイブリッド開催のノウハウも蓄積されていった。MICE 施設としてはいち早く感染症予防に特化した認証プログラム「GBAC STAR」も取得し、以前と形式は異なっても国際会議を開催できる環境が整った。2020年12月に国際会議協会(ICCA)による「ICCA Asia Pacific Chapter Summit 2020」がハイブリッド開催された際、ICCA アジアパシフィック部会の役員やスタッフと、国際会議の在り方をディスカッションできたことは村山さんの大きな糧となった。
グローバルなフィールドで若い世代に活躍してほしい
コロナ禍が落ち着くに従い、国際会議も再びリアルを重視する傾向が強まってきている。一時の混乱こそあったが、リアルであろうとハイブリッドであろうと MICE施設に求められるのは参加者が気持ちよく会議に集中できる環境であり、村山さんの役割はいかにパシフィコ横浜ならではの価値を主催者や参加者に提供できるかということだ。
村山さんは、若い世代に自身がこれまでに得た経験や知見を引き継いでいきたいと考えている。例えば自身が司会・企画運営を務めた「横浜グローバル MICE フォーラム」は失敗を恐れず挑戦できる良い環境だった。次は若い世代の社員に挑戦して欲しいと思う。
また、海外との交流機会を持つことで、よりグローバルな人材に成長して欲しいと願っている。パシフィコ横浜では今年4月より、海外戦略に関するプロジェクトが走り出していることから、今後はより世界に通用する人材が出てくるだろう。村山さんは大きな期待感を抱いている。
長く苦しいコロナ禍を乗り越え、アフターコロナ時代に向けてさまざまなことが動き出した。この良い流れに乗り遅れることがないよう、気を引き締めて頑張っていきたいと村山さんは思う。