未来への可能性を描き、無限のその先へ[池田 和弘 氏]

インタビュー
本記事は2023年8月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.32で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.32|特集① 大阪・関西万博に向けた社会の動き
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は「未来社会の実験場」と言われており、新たな技術や製品・サービス、そして価値観が生まれる場でもあります。1970年の大阪万博が今の日本社会の礎となったように、大阪・関西万博は未来の日本を垣間見るまたとないチャンスになることが予想されます。そこで今回は、大阪・関西万博に向けて加速する社会の変化を特集します。

大阪・関西万博の開催地である大阪府・大阪市は企業と共に出展する「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」の公式ロゴマークを決定した。そこで、そのロゴマークをデザインした池田和弘氏に、制作への想いやこれまでの活動について話を聞いた。

ブランドデザインによってコミュニケーションを生む

デザイナー/アートディレクター
池田 和弘 氏 (ウフル所属)

──これまでどのようなデザインを手掛けてきましたか

企業のブランディングや広告、プロモーションツールなどジャンルを問わず幅広い領域でデザインを手掛けてきました。ロゴをはじめとしたブランドデザインから、企業のビジュアルコミュニケーションに関わるデザイン全般まで、幅広く携わっています。

──印象的だったお仕事について教えてください

以前、とある医療系財団のアートディレクターを務めたことがあります。その時、浮かび上がってきたのは、ブランディングを軸としたビジュアルによる差別化が必要だということ。すでにロゴマークが存在している中で、ではどうアイデンティティを確立しようかという課題に対し、ブランド独自のグラフィックエレメントを開発し、それを用いた強度のあるデザインシステムを設計することにしました。

展開の汎用性を考慮し、できるだけシンプルな構造にしたことで、完成したものは財団の訴求物であることが一目で分かるよう写真の背景に使われたり、フレームとして使われたりしました。パターングラフィックとしての展開も容易で、財団の持つ意志やアイデンティティを直感的に伝えることができるデザインによって、新たなコミュニケーションを生み出すお手伝いをしました。

──池田さんは所属先であるウフルのブランドデザインも手掛けていますよね

2016年にウフルが10周年を迎える際、コーポレートロゴの変更と VI を担当しました。それまではパソコンのキーをイメージしたロゴだったのですが、インターネットやデータを活用したサービスは大きく変化していくでしょうし、その中でウフルが未来へ向けて掲げるべき象徴は何か? ということを考え、ウフルが大切にしていた「人と人とのつながりがもたらすエネルギー」や「協創の精神」を表現すべく、シンボルマークを作成することにしたのです。

シンボルマークは「u・h・u・r・u」のアルファベットを一つに重ね合わせたデザインで、一カ所に集った個性が枠を超えてつながることを表しています。また、制作にあたって、完成物だけでなくその過程で流れる空気のような概念も大事にしたいという想いから、黄金比を重ねることで生み出される正円の比率を抜き出し、組み合わせることで、「美しさ」と「永続性」を表現しました。

完成したロゴマークはウフルのサービスやインナー向けプロジェクトのほか、社内の名刺や紙袋、新聞広告など幅広い用途で使用されています。

──ほかにはどのようなお仕事をされていますか

大型ショッピングモール開業のお手伝いや、自動車のキャンペーンロゴ・ビジュアル制作、企業のプロジェクトロゴ、お菓子のパッケージや書籍など分野を問わずにブランドデザインを行ってきました。

「卵」の殻を破り「未来」へ 可能性は無限に続いていく

「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」ロゴマーク

──池田さんのデザインが大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン公式ロゴマークの最優秀賞を受賞しましたが、どのような想いで制作したのでしょうか

大阪ヘルスケアパビリオンには Nest for Reborn という名称のもと、「人は生まれ変わる」「新たな一歩を踏み出す」というテーマがあります。それを知ったとき真っ先に脳裏に浮かんだモチーフが「卵」でした。「卵」にはこれから生まれる、生まれ変わるという直感的なイメージがあります。殻を破った先に待つのは無限に想像できる未来への可能性であり、それが大阪ヘルスケアパビリオンでの体験と強く結びつくものだと考え、ロゴマークを制作しました。

形状はアイコンとしての強さを持たせるためシンプルかつソリッドに、一方で中の模様は躍動感のある流体にしました。これにより、どこか有機的で温度感のある「生命」を感じさせるデザインを目指しました。カラーは水都大阪の青をベースにし、街に溢れる緑も用いて、万博が内包する地球のイメージとの調和を図りました。

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