『EventBiz』vol.33|特集② イベントを進化させるヒトとモノ
本企画ではイベント業界における革新的なアイデアやテクノロジーを紹介します。
音と映像のトータルソリューション企業であるヒビノと MICE 業界の DX を推進する MICE プラットフォームは8月30日、資本業務提携を締結した。この連携によって、イベント業界のさらなる成長が期待される。本記事では、両社が描く未来のイベントについて探る。
目次
互いの強み弱みと共通するビジョン
─今回の提携のきっかけと両社の特徴について教えてください
永田 当社はソフトバンクグループの社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」から誕生しました。今後の成長を見据え、一緒に業界を盛り上げていけるパートナーを探していました。当社はまだ新しい会社ですが、ヒビノとの WIN-WIN の関係を築けると考えて、アプローチさせていただきました。
芋川 当社は企業イベントやコンサート、スポーツイベント、コンベンションなど、多様なイベントを手がけていましたが、コロナ禍によって全ての市場で仕事が減少しました。従来、実際に人が集まるイベントに特化していましたが、コロナ禍によりオンラインイベントの需要が高まり、それが弱みにもなってしまった。そのため、オンライン領域の強化は対処しなければならない課題でした。その後、コロナが落ち着き、リアルイベントも回復する中で、ハイブリッドイベントが注目されています。この状況において、これからは MICE プラットフォームに対する協力できる範囲が広がっていると感じています。
永田 当社の社員の約半数はエンジニアであり、イベントテック企業に分類されます。私自身は、以前はセミナーなどのイベント運営に従事していました。そのような中でどうしても時間のかかる、いわゆるアナログな業務を多く経験してきました。多くのイベントを開催するには、やはりテクノロジーの力が必要だろうと感じ、会社を設立しました。イベント業界の DX を推進していくことをミッションとして掲げています。
芋川 当社のコンサート・イベント映像部門には100名を超える技術スタッフが在籍し、あらゆるイベントをサポートしてきた経験によって、イベントのプロセスを熟知しているという自負があります。膨大な現場で蓄積されたノウハウは次世代にも継承していますし、教育と育成にも力を入れています。今回の縁で、成長が期待される MICE プラットフォームと一緒に仕事ができることになったので、そのノウハウは同社に継承し、さらなる成長を支援したいと考えています。
永田 その点はわれわれにまだ足りない部分であり、今後は IT を活用してイベントのプロセスを効率化し、より有益な関係性を築くことが可能だと考えています。多くのイベントをサポートし、業界全体の発展に寄与していきたいです。
今後のイベント体験に求められるもの
─コロナ禍を経て、イベントの在り方はどのように変化してきましたか