5年でエントリー数が3倍に。“わざわざ走る”価値がある、高知龍馬マラソン[上岡 法政 氏]

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本記事は2017年8月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.8で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

不思議なキャッチコピー

「何もわざわざそんなことしなくても」。

そんな言葉を、あなたも一度くらいは言われたことがあるのではないだろうか。言われたことがなくても、テレビや映画で耳にしたことはあるはずだ。それほど、この「わざわざ」という言葉は私たちの生活に深く入り込んでいる。とはいえ、「わざわざ」ってどんな意味? と聞かれると、咄嗟には出てこなかったりする。そこで気になった私は、辞書を引いてみた。

❶〔そのことのためだけに〕特別にするようす。「─おいでいただきまして」

❷する必要のないことを、ほねをおってするようす。「─遠回りをする・─来てやったのに」

見坊豪紀他編(2014)『三省堂国語辞典』第七版,三省堂.

なるほど。例文を見ると分かりやすい。どうやら「わざわざ」という言葉は多少のネガティブ要素を含んでいるようだ。「わざわざ」しなくても、生活や仕事に影響はない。「わざわざ」余計なことをしてくれた。なかには「わざわざありがとう」のような肯定的な使われ方もあるが、これには「手間をかけさせてしまった」ことによる謝意も含まれているように思える。いずれにせよ、なんだか面倒くささを感じる言葉というのが率直な感想だ。

ところがある日、この「わざわざ」という言葉を、わざわざキャッチフレーズに使った不思議なイベントを見つけてしまった。

いざ高知へ!

“わざわざ高知で走ろう!”そんなキャッチフレーズのもと、2013年から行われているのが「高知龍馬マラソン」だ。わざわざ高知で? ついそう返したくなるようなキャッチフレーズだと思っていたら、公式ホームページにも「わざわざ、高知で、走る…?」と書かれていて思わず笑ってしまった。どうもこの龍馬マラソンの担当者(この場合はホームページ担当者か)とは気が合いそうだ。

ともあれ、奇妙なシンクロも後押ししてくれて俄然この龍馬マラソンに興味が出てきた私は、思い立ったが吉日!とばかりにわざわざ高知へと飛んだ。観光キャンペーンの一環としてスタート高知といえばカツオ!カツオといえばたたき!高知に着いた私は早速腹を満たすためにカツオの名産店を巡る・・・のは後回しにして、龍馬マラソンの事務局にお伺いした。

今回、取材対応をしてくれたのは黒いポロシャツに焼けた肌が良く似合う、高知県文化生活スポーツ部スポーツ課主幹、龍馬マラソン事務局員の上岡法政さんだ。早速、気になっていたキャッチフレーズについて聞いてみる。どうしてわざわざという言葉を選んだのか。「龍馬マラソンは元々県の観光キャンペーン『~龍馬(RYOMA)の休日~』の一環としてスタートしました。高知県は四国の中でも特にアクセスが不便なもので、なかなか足を運んでもらえないんです。ですので、わざわざ足を運んでいただく必要があります」と上岡さん。私は(失礼にも)ウンウンと頷く。何を隠そう、私自身も高知県に降り立ったのは今回が初だったからだ。そんな私の態度にも気分を害した様子はなく、上岡さんは続ける。

上岡法政さん