未来を創る元気な会社へ[ムラヤマ・齋木 透匡 氏]

インタビュー
本記事は2023年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.33で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

2023年6月、ムラヤマの代表取締役社長に齋木透匡氏が就任した。これまでの経歴のほか、齋木氏の考えるムラヤマの価値、社員への思いなどについて語っていただいた。

目次

現場で奔走した日々

齋木 透匡
(経歴)
1982年にムラヤマに入社。
2008年に執行役員、2010年に取締役。
2017年に子会社であるムラックの取締役、2018年に同社の代表取締役。
2019年にムラヤマの常務取締役、2023年6月に同社の代表取締役社長。

入社後は武道館で行われるイベントの施工に携わっていました。1年ほどして営業部に配属され、新たに完成した国技館と武道館で行われるイベントを担当することになります。武道館と国技館では音楽祭や式典を中心に、さまざまなイベントの経験を積み、2002年のサッカーワールドカップ(W 杯)の日韓開催が決定した時期から、スポーツイベントを本格的に担当するようになりました。2001年に日本で初めて開催された福岡の世界水泳では、W杯の前年ということもあって、我々 W 杯担当のチームが会場全体の基本装飾プランを引き受け、スポンサーロゴの露出方法やメディア・VIP の動線についてゼロベースから設計を行いました。この設計は主催者である当時の国際水泳連盟(現:World Aquatics)から高い評価を受け、以降、世界水泳の会場設計の標準となっています。

演歌の大御所・北島三郎さんの芸道35周年記念「感謝」コンサートは私にとって印象深いものになりました。ある日突然、演出を手掛けていた北島さんの弟さんから「ムラヤマの齋木さんで」と名指しで連絡が来たのです。「35周年を記念するイベントをやりたい。予算はあるので他と負けないイベントにしたい」と。おそらく制作会社を探していて、どこかで私のことを知ったのだと思います。当時のムラヤマは音楽イベントの制作はやっていなかったのですが、どうせだから乗っかっちゃおうということで引き受けました。その後はあちこちで芸能界の記念コンサートを得意とする会社の人に会って、進め方を学びました。会場は国技館にして、マス席でショーを楽しみながら松花堂弁当を召上っていただくスタイルになりました。「お弁当も引き出物も特別なものにしたい」という事務所の要望に応えるべく、お弁当の中身は何度も協議して、とても豪勢なものを作ることができましたし、引き出物も自分たちなりにブレストして、最終的に北島さんの顔を立体加工した腕時計を来場者の方々にプレゼントする企画を盛込み満足いただきました。試行錯誤しながら企画から携わった大きなイベントでしたから、仕事観が大幅に広がった出来事で、とても面白かったことを覚えています。

そのほか自動車メーカーの新車発表会も記憶に新しいです。来場者は招待者限定で1000人に満たないもの。対して装飾は国技館の天井まで続く30mもの大きなステージを立て、さらに天井から車6台を吊るすというチャレンジングなものでした。国技館は当時オープンしたばかりで、天井から重量物の吊りに対応していなかったため、会場全面を埋め尽くすトラスを組み、そこから車を吊るすことになったのですが、当時はトラスもウインチも国内の在庫が少なく、部材の3分の2が足りない状況でした。そこでアメリカから不足の部材を借りて、輸送には顧客であるメーカーが自動車を輸出する際に使用した貿易船の帰国時の空きスペースを利用するなど、非常に大掛かりな手配をしました。

そのほか天皇陛下御在位60年記念式典も国技館のマス席を全面床上げし、ひな壇にしてそこに VIP 用の椅子を設置するなど、品格ある大型ステージと併せて会場全体は大胆に設計しました。会場の映像が世界に発信されたのでよく覚えています。

着実な成長計画で安全安心に

コロナの低迷期を乗り越え、まずは社員に向けて今後3カ年の中期経営計画を発表しました。新型コロナが5類に分類され、「さあこれから」というタイミングですが、会社としては急激な V 字回復もさることながら、安全と安心を重視することを掲げました。受注量も大切ですが、ひとつの仕事に対し、しっかり対応することに重きを置こうということです。今は計画通りのペースで業績は回復し、黒字化まで戻っています。来年、再来年はさらなる成長を目指していきます。

日テレ HD とは協業委員会を組織して、新しい事業の開拓に取り組んでいるので、興味深いプロジェクトが次々と生まれています。たとえば、当社は11月と12月に東京都が開催する「GRAND CYCLE TOKYO」で企画・制作・運営を行うのですが、これは番組制作や映像製作に長けた日テレのグループ会社アックスオンとムラヤマがコラボレーションすることで受注できた仕事です。

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