デジタル・トランスフォーメーションはイベントに何を起こす[NEC]

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本記事は2020年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.21で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.21|特集 2021年イベントトレンド予測
新型コロナウイルスの影響から、2020年の春先から早急な変容を求められたMICE業界。現在も感染防止のケアだけでなく、代替案となるオンラインやハイブリッドといった新様式への対応が進んでいる。さらにデジタル・トランスフォーメーション(DX)やニューノーマル体験、SDGsなど、主催者は日々様変わりする社会情勢に対応した変化が求められる。そこで今回は2021年、イベントを開催するうえで押さえておきたいトレンドを紹介。変化に素早く対応した企業事例や、まだイベント業界に浸透しきれていないものの、今後注目が高まるコンテンツを紹介する。

イベントのデジタル・トランスフォーメーション(DX)はどのようにして実現し、イベントの何を変えるのか。さまざまな産業のDXに注力するNECが推進するイベントDXについて、東京オリンピック・パラリンピック推進本部でマネージャを務める山崎隆氏とシニアエキスパートの吉田直孝氏に話を聞いた。

スポンサーの立場から見たイベントの現状と課題

吉田 直考 氏(左) と 山崎 隆

多くのイベント主催者は、来場者の消費やスポンサー企業などステークホルダーからの投資を最大限にすることを目指す。スポンサーや協賛などの立場でイベントに参加することが多い NEC の視点から、山崎氏は現在のイベントが抱える課題について以下の点を挙げた。

●KPI への意識が低い
●イベント参加の効果測定があいまい
●イベントがイベントだけで完結している

これらの課題によって主催者と来場者、スポンサー企業の三者間でイベントへの評価や満足度にギャップが生じているという。「外資系企業の場合、スポンサー契約を結ぶには本国に報告する必要がある。日本の担当者は契約の KPI提示を本国から求められるが、イベント主催者が示す数字があいまいで回答できずに困っている、という話は珍しくない」と山崎氏。根拠となるデータが不足していることが原因で KPI の定め方がわかっておらず、目標達成スキームをこなせる人材も不足していると指摘する。

効果測定も次回参加に結び付く数値を提示されることが少ないという。「イベントではよく『前回の開催では○本の番組・雑誌で取り上げられました、今年も推定で○億人が視聴・購読します』と説明を受けるが、これだと検討段階で『本当にスポンサーになる意味があるのか』と上層部が納得しない」と言い、一方で勢いの増す WEB 広告はコンバーション率や訪問者属性など、結果が明確なことから「スポンサードする動機が揃っている。これでは WEB かイベントか、という比較したときにイベントが負ける可能性が高い」と続けた。

イベント開催後の様子についても、振り返りが運営実務レベルで終わっている印象を受けており「直前までバタバタとして、盛り上がったらそれでよし、終了。というイベントが多いのではないか」と疑問を呈する。収益の最大化を最終目的とするならば、イベントだけで完結させずにイベントで興味を示した新規ファンを店舗や EC ショップへ誘導したり、次のイベントへの参加を促したりと、さらに収益を延ばすマーケティング策を打つべきということだ。山崎氏は「多くの企業はイベント担当者とEC 担当者、店舗担当者などの間でマーケティングの連携は取れていないだろう」と推測する。

NEC が取り組むイベント DX

イベントが抱える課題は、改善することでイベントの効果を高める可能性を秘めている。そして解決の一手として NEC が推進するのが DX、データとデジタル技術の活用だ。

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