『EventBiz』vol.23|特集② 大阪・関西万博への鼓動
「東京一極集中」と言われてきた日本が変わろうとしている。その中核にあるのが、2025 年に開催される大阪・関西万博だ。“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに、人類共通の課題解決に向けた最新の技術やソリューションが集う夢洲の地には、世界中から約2,800万人が訪れると言われている。大阪・関西万博によって社会はどのように変わるのか。最新の動向を追う。
経済産業省は4月13日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への日本政府館(日本館)の出展に向けて、日本館の基本的なコンセプトや展示などの方針を示した基本構想を策定した。基本構想に込められた思いを経済産業省商務・サービスグループ博覧会推進室に聞いた。
経済産業省商務・サービスグループ博覧会推進室
○室長補佐 長田 かおり 氏 ○室長補佐 山崎 牧子 氏 ○係長(大阪・関西万博)中村 和子 氏
「生きる」とはどういうことか 共存、共生に目を向けてほしい
─基本構想の概要について教えてください
長田 大阪・関西万博における日本館の出展の意義や使命、テーマなどをクリエイターが中心となって令和2年度に実施した「日本館基本構想ワークショップ」で検討いただき、まとめたものです。この基本構想が今後、建築や展示の具体的計画の土台となります。
─ワークショップはどのような形で行われたのでしょう
長田 メディア、デザイン、建築など各分野で活躍する新進気鋭のクリエイター参加のもと知見を持ち寄りました。デザイナーのコシノジュンコさんをはじめ、1970年の大阪万博では当時の若手だったクリエイターの方々が活躍し、その後国際的にも活躍されたことが広く知られていますが、2025年の大阪・関西万博も新しい才能が開花する場であってほしいと思い、新たな感性も積極的に取り込みたいと思っています。
山崎 基本構想の策定にあたっては、当初①建築・空間設計、②展示体験、③万博終了後までを見据えたコミュニケーションデザインという3つの領域を想定して各領域からクリエイターの皆さまにご参加いただいて議論をスタートしたのですが、第1回から分野の垣根を越えた闊達な意見をみんなで交換し検討していく流れとなりました。
─日本館のテーマである「いのちと、いのちの、あいだに─Between Lives─」にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか
中村 大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」にも含まれている、「いのち」という言葉は日本館にとってもなくてはならない要素でした。大阪・関西万博のサブテーマにも「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」といった3つの「いのち」が使われています。「命」ではなく「いのち」なのは、人類以外の生命や、非生物までを含めた大きな枠組みだからです。
山崎 この地球上に完全無欠な生物は存在せず、私たちは他者や自然と共存していかなければいけません。「いのち」と「いのち」が支え合う、その「あいだ」に目を向け、ひとつひとつのいのちが輝く未来社会について考える機会を創っていけたらと思います。
デジタル日本館で世界とつながる コロナ後はじめての万博のかたち
─基本構想の中には「デジタル」という言葉が多く登場しますが、リアルとデジタルをどのように結び付けていくのでしょうか