業界で活躍する女性の姿を追う
「同じ地球なのに、日本と海外じゃどうしてこんなにも違うんだろう?」
幼い頃、海外に住んでいた河田さんの胸に芽生えた小さな疑問。肌の色も、言葉も、着ているものや食べるものだって全然違う。けど、同じように泣き、笑い、誰かを愛することができる。2つを隔てる溝はとても大きく見えるけど、1本の橋さえあれば簡単に行き来できるようになるかもしれない。
「だったら、私がその2つをつなぐ架け橋になろう!」
そうして生まれた願いに導かれるようにして、これまでずっと歩いてきた。そして今、この場所に立っている。日本貿易振興機構-ジェトロ。今日もまた仕事が始まる。
憧れ続けた夢の仕事 多くの国とつながった
ジェトロの役割は日本と海外との貿易や投資を促進させること。それは言い換えるなら、河田さんの夢そのものだ。これまで、さまざまな国と日本がつながる手伝いをしてきた。ある時は中南米やアフリカの新興国から食品を輸入するため、展示会への出展支援を行った。またある時は先進国に質の高い日本の製品を進出させるため、伝統産品やファッション、テキスタイルの輸出支援を行った。どれもがやりがいのある仕事だったし、今でも昨日のことのように思い出すことができる。
そんな河田さんの仕事に欠かせないのが、展示会というツールだった。日本から海外へ、海外から日本へ商品を紹介する際、大勢のビジネスマンが訪れる展示会は最高のパフォーマンスを発揮してくれる。ジェトロではアジア最大規模の食品展示会である「FOODEX JAPAN」にも、海外企業の出展がほとんどなかった頃からブースを出展している。
既に展示会の現場からは離れたが、熱気と活況に満ち溢れた展示会の風景に思いをはせる度、河田さんの胸中に懐かしさが込み上げてくるのだった。
学ぶべきことはいくらでもある 飽くなき挑戦はどこまでも続く
ジェトロに就職してからというもの、いろんな国の人と仕事をする機会が増えた。それは河田さんが仕事に臨む上でこれ以上ないモチベーションとなった。同時に「自分は何て恵まれているんだろう」という考えを河田さんに与えた。日本にいれば女性であるからといって、理不尽に権利を侵害される心配はほとんどない。だが世界に目を向ければ、女性であるというだけで権利を制限され、やりたいことをできないといったケースが多々ある。それを考えれば十分な教育機会を与えられ、やりたい仕事に就けた自分のなんと幸運なことか。
また、国だけではなく、多種多様な業界に接する機会にも恵まれた。言い換えれば勉強の連続だったが、幸い知識欲はある方だったので苦ではなかった。だが、1つの業界の面白さが見えてきた頃に次の業界の仕事に移らなければいけないといったジレンマを感じなかったかと言えば嘘になる。特に、最近では IT 業界をはじめ技術進歩のスピードが上がっていて知識の吸収がなかなか追い付かない。
「本当、退屈しないなぁ」。ふと、河田さんの顔に笑みが浮かぶ。学んでも学んでも終わりがないなんて最高だ。だったらトコトンこの仕事を味わい尽くしてやろう。