本記事は2022年5月31日発行の季刊誌『EventBiz』vol.27で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。
[Woman's NEXT]
業界で活躍する女性の姿を追う
誰かの喜ぶ顔、驚く顔が見たい 無限の原動力で挑戦し続ける
(Profile)金沢美術工芸大学環境デザイン専攻卒、2013年丹青社入社。イベント分野で多くの経験を積む。ブースデザインからステージ演出、映像演出、コンパニオンの衣装デザインまで、幅広く手がける。空間と合わせて細部まで一貫したデザインをすることによって、イベント全体の感動体験の向上を目指している。趣味は写真を撮ることと、VR で遊び、VR 空間をつくること。
伊藤さんが丹青社の扉を叩いたのは2013年のことだった。金沢美術工芸大学では環境デザインを学んでいたが、いつしか自分の可能性を広げるため、もっと新しいことに挑戦したいと感じるようになっていた。空間を一つの作品として表現するインスタレーションにことさら強い興味を覚えていたため、展示会のブース演出において数多くの実績を有する丹青社こそが理想の職場と考えた。
入社後1年間は「新入社員研修『人づくりプロジェクト』」と制作部門での研修が続き、そこで基礎や社会人としての自覚をみっちりと叩き込まれた。ようやくデザイナーとして活躍できる機会を与えられたのは2年目の春頃だったが、どの仕事も想像以上にやりがいがあり、忙しいながら日々は充実そのものだった。
ある時、国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ」で大手ゲームプラットフォームのブースを手掛けることになった。まだまだ新米で右も左も分からない。だけど、チームに迷惑だけはかけまいと必死に食らいついていった。へとへとになりながら、どうにかこうにか完成まで漕ぎつけ、やっとの思いでイベント当日に会場に足を運んだ伊藤さん。そこで目に飛び込んできたのは大勢の観客の姿だった。
笑っていた。みんなキラキラとした笑顔で。心から楽しそうな表情を輝かせていた。ふと込み上げてくる感情があった。衝動と言ってもいい。この笑顔を、最高の一瞬を、作り上げたのはほかの誰でもない自分なんだ……!
その時に覚えた震えるような感動が伊藤さんの原点となった。誰かの喜ぶ顔が、驚く顔が見たい。心に残る特別な思い出を自分の手で生み出したい。その純粋な思いが、決して冷めることのない熱い塊となって、今なお胸の内で燃え続けている。
デジタルでも変わらぬ感動を コロナ後の新しい時代に飛び出す
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