イベントを仕事にするとは?[サピエント・小川 美樹 氏]

インタビューイベント職業図鑑
本記事は2022年11月30日発行の季刊誌『EventBiz』vol.29で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.29|特集 イベント業界で働く 2023
イベントのV字回復が期待される中、多くの企業の頭を悩ませているのが人手不足の問題です。働き方や働き手の考え方が大きく変わりはじめた今、優秀な人材をイベント会社・業界に確保するためにとるべきアクションを考えます。

この仕事をはじめたきっかけ

新卒のとき、ある自動車メーカーのショールームスタッフとして働いていました。普段はショールームでの接客が仕事ですが、モーターショーや全国各地で行われるディーラーの表彰式、サービスエリアのイベントのときには MC やナレーションを担当することもありました。

そのような中、仕事でモーターショーに参加したときの休憩中に、他社ブースのプロのナレーターの働きぶりを見て衝撃を受けたのです。「私もいつかこんなナレーターになって大きなステージに立ちたい」と。サピエントに所属し、そこから本格的に MC・ナレーションの仕事をはじめてから数年後、夢見たステージにナレーターとして立たせてもらえたときのことは今でも覚えています。原稿はすべて暗記必須のステージだったので、前日は寝れませんでしたし、本番が始まるまではプレッシャーで不安でしたが、実際にステージに立ったときの感動は忘れもしません。そのときは、身振り⼿振りで説得力のあるプレゼンするという、個人的にも大好きなステージでした。

仕事内容

展示会で行われる企業のプレゼンテーションやトークショーの司会進行、セミナーの前フリと後フリなどで喋ることが多いです。大体、会期の2~3ヶ月前にご依頼いただき、1週間前にいただいた原稿の暗記と練習。前日にリハーサルをして当日の本番に臨むという流れです。当日は会場入りの1時間前には必ず到着し、近くのカフェで気持ちを整えるようにしています。

原稿を読むだけの仕事でしょう、とたまに言われることがありますが、実はとても奥が深い仕事で、一言一句違わず台本通りに進行するものもあれば、アドリブで会場を盛り上げてほしいとリクエストされることもあります。正しい滑舌やイントネーションはもちろん、間や喋るスピード、声の出し方、声のトーン、それらのバランスをイベントによって変える必要があるため、同じ現場はふたつとありません。

今の仕事で好きなこと

いただいた原稿や資料を読み込んで、わからないことは調べ、さらに企業の動画や取り上げられた記事からその思いや熱量を汲み取ります。あたかも自分が社員のひとりであるかのように、社員にだって負けないくらいの熱量で、当日のステージで皆さんに思いを伝えることが私の役目です。表現することが好きなんです。

本当は人見知りで、プライベートではあまり喋る方ではありませんが、スイッチを入れることで違う自分になれている気がして。そんなところも魅力です。

今の仕事で大変だったこと

どれだけ準備や練習していても、本番ではイレギュラーなことは起こります。やはり本番前は不安ですし緊張もします。セリフが飛んだらどうしよう、練習ではうまくいっていたのに、なんて思うこともよくあります。ですが、不安になると大抵うまくいかないので、そんなときは受け売りですが「真剣にはなっても深刻にはなるな」という言葉を思い出して、それを唱えながら心を落ち着かせています。

仕事に欠かせないアイテム

ナレーターのお仕事に欠かせないのが漢方薬です。少しでものどが痛いときは、すぐに飲むようにしています。乾燥している現場は、アメを舐めたり水分を取るように心がけています。

Profile

サピエント
ナレーター・MC
小川 美樹 (おがわ・みき) 氏

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