『EventBiz』vol.30|特集② 展示会のプロに聞く! 出展成功のカギ
集客や接客、展示手法、予算、社内体制・教育、計画の立て方、効果測定、展示会の選定、海外出展成功のコツ……など、さまざまな悩みを持つ出展者に向け、展示会のプロに出展のヒントを聞きました。
展示会の出展で思うような成果が出ないとき、何となく「集客方法が悪い」と考えたりしていないだろうか。だが、広い視点で見てみれば、実は集客以外にもさまざまな要因が存在する。そこで、展示会のコンサル事業を手掛け、年間数十件の展示会出展をサポートしてきた実績を有するモード・マーケティングの森田光一氏に展示会で成果を出すコツを聞いた。
Profile
モード・マーケティング 代表取締役
森田 光一 氏
出展を成果につなげるためコンサル会社のノウハウを
─展示会の支援事業を始めたきっかけは何でしょう
起業当時は展示会の素人でしたがたまたま仕事の話が飛び込んできて、創業前にコンサル会社で学んだリード獲得から受注までのノウハウを応用できないかとやってみたのがきっかけです。これが思った以上にぴたっとハマり、ビジネスとしてやっていく価値があると感じました。
─どのような企業からの依頼がありますか
出展小間数を大きく取るような大企業からの依頼が多いです。皆さん「リードは獲得できるけど受注などの成果につながらない」といった悩みを抱えています。
─2017年からはウェブメディア「展示会の学校」もされていますね
「展示会の学校」はもっと中小企業の役に立ちたいという思いから始めたメディアでしたが、最初の頃は月間1,000PV くらいで細々と続けていました。ところがコロナ禍になり、オンライン展示会のメリットとデメリットについて記事を書いたところ、急激に PV 数が増えピーク時には月間1万 PV を超えることもありました。
来場者層を分類・把握し集客以外にも目を向ける
─展示会の出展で成果を出すためにどうしたらいいでしょうか
B to B展示会の場合、来場者は大きく4つに分類されます。①課題を抱えておりすぐに相談できる事業者を探している人、②出展企業から招待されている、あるいは情報収集を目的に毎年必ずその展示会に訪れる人、③特に目的がない人(②の人も用事が終わるとこれになる)、④勉強目的の新人、あるいはマーケティングや競合などの調査に来ている人、です。
大切なのは、自分たちが出展する展示会の①から④の割合がどうなっているかを把握することです。例えばとあるIT系展示会は春と秋の年2回開催で、コロナ禍以前の来場者数は春が10万人越え、秋が約4万人でした。これが新型コロナで一気に減った訳ですが、2022年の戻り具合を見ると春が約4万人、秋が約3万6,000人となっています。これはつまり、春に戻らなかった約6万人の来場者は緊急性の低い②~④の層だったということです。
今後コロナ禍が収束に向かうにつれ、展示会の開催件数が増え、大企業の出展も戻ってくると予想されます。そうなると再び②~④の層が増えるため、数字に惑わされず①の多い展示会を見極めなくてはなりません。
─出展者の中には集客がうまくいかず苦労している企業も多いかと思います