米国系展示会会社で学んだ BtoB イベントのポイントとは?[管埜 寛之 氏]

インタビュー
本記事は2023年2月28日発行の季刊誌『EventBiz』vol.30で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

『EventBiz』vol.30|特集② 展示会のプロに聞く! 出展成功のカギ
集客や接客、展示手法、予算、社内体制・教育、計画の立て方、効果測定、展示会の選定、海外出展成功のコツ……など、さまざまな悩みを持つ出展者に向け、展示会のプロに出展のヒントを聞きました。

35年以上、IT 関連の展示会の開発・企画・主催・運営を経験した管埜氏は、米国流のシステマチックな展示会ビジネスが未だに日本に根付いていないという。展示会ビジネスの本質とはなんなのか? われわれは展示会をどのように捉えていくことが販路拡大の正しい筋道なのか? 米国と日本の展示会ビジネスに精通したプロフェッショナルに、これからの展示会の有効活用法を聞いた。

Profile
管埜 寛之(すがの・ひろゆき) 氏
イベントマーケティング・コンサルタント
1954年11月東京生まれ。出版社勤務を経て展示会主催会社などにて業務歴35年。多くの展示会立ち上げを経験。インターネット技術の展示会「INTEROP」、コンピュータ展示会「COMDEX」といった米国イベントの日本進出やオリジナル展示会として開発した「VIDEX APAN」、「Japan Drone」などの企画・主催業務のメインプロデューサーを担当してきた。2020年6月にフリーランスに。

米国と日本の展示会ビジネス

─管埜さんの展示会ビジネスの歩みをお聞かせください

1987年に展示会業界に飛び込み、35年以上になります。最初は外資系の主催会社、そしてオリジナル展示会主催をめざしたベンチャー企業を経て、米国系の IT 展示会主催会社(1993年入社)で IT 関連展示会の開発・企画・主催・運営を経験しました。また、その後、国内の会議オーガナイザー(PCO)にお世話になり、2020年からフリーのイベント・マーケティングコンサルタントとして活動しています。

─特に得意な分野、専門領域はありますか?

15年以上在籍した米国系の IT 展示会主催会社にて展示会のノウハウ、特にセールス&マーケティング分野について学んだ知識は今でも役にたっています。日本では展示会事業や産業についての本格的な教科書はまだまだ少ないので、そのようなノウハウの共有などで貢献できればと思っています。

─日本と米国の展示会で一番違うのはどういうところでしょうか?

いろいろ違う場面はあるのですが、一言で言うと、展示会の利用法の違いを「科学的に分析する」アプローチが米国は徹底している、日本はそうでもない、ということでしょうか。未だにその差は存在するのでは、と感じています。また、出展者側の展示会活用法の研究も未開発の部分が多いのではないか、とも思います。

分析し、実践的な展示マーケティングを活かす

─具体的にはどんな部分ですか?

まずは分析という分野から展示会の効果を図る言葉としては、日本でも ROI(return on investment)が使われますが、その効果を科学的にどう分析して利用するのか、という議論やノウハウの研究が決定的に遅れていると感じています。

例えば米国には「EXHIBITOR」という雑誌(展示会の出展社、PR会社や業界向けの専門誌)があり、さまざまな形で展示会の効果測定、分析、実践法などの研究や成果発表のようなセミナー、ブログ、イベントが展開されています。また、毎年春には EXHIBITOR LIVE というリアル展示会+セミナーが開催されているのですが、日本からの参加者はまだまだ非常に少ないようです。

─どのような内容のセミナーがあるのでしょうか?

例えばジャンルでいうと、「効果測定と分析手法」「展示会マーケティング」「海外展示会での効果的マーケティング」「ブースデザインと実践」などのトラックが設定されていて、そのテーマにもとづくセッションが展開されていきます。

今年も4月にケンタッキー州のルイスヴィルで開催が予定されているのですが、全部で100を越えるセッションが用意されているとのことです。また、そこでは CTSMという大学認定資格の制度もあって、展示会産業での人材育成に役立っていると聞きます。この他にも米国の展示会関連団体として有名 な IAEE (International Association of Exhibition and Events)協会でも同様の資格制度CEM(The Certified in Exhibition Management)があり、日本でも一部紹介されたことがありますよね。

─何か具体的なセッションをとりあげて内容をご説明いただけますか?

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