2023年4月、バンセイの代表取締役に上田浩太郎氏が就任した。20年以上、イベントのディスプレイや企画制作、運営という業務に向き合ってきた上田氏に過去を振り返ってもらうとともに、今後の展望について話を聞いた。
目次
「人」が会社を作るコロナ禍でも誰一人欠けない会社に
─社長就任おめでとうございます。これまでの経歴について教えてください
大学卒業後、バンセイのグループ会社である萬世建設に入社し、そこで現場管理、営業を経験し、建設における安全衛生管理の知識を学びました。5年ほど経って、常設工事だけでなく、イベントの仮設工事も両方を経験すべきということで、2001年にバンセイに入ることになりました。
バンセイでは営業を中心に業務全体の統括を行い、2007年に常務取締役、2009年に専務取締役を任され、今年4月に代表取締役に就任しました。
─あらゆるイベントの企画、運営、制作を手掛けているバンセイに勤めた20年で変わったと感じるイベントはありますか
当社がサポートするイベントは音楽、スポーツ、文化など多岐にわたりますが、特にスポーツイベントが多くを占めています。なかでも、ゴルフトーナメントのサポートは得意としており、男子、女子、シニア、国内50ほどの大会・トーナメントを毎年手掛けています。私が入社した当時は、男子ゴルフが全盛期で、女子ゴルフはほぼ認知されていないような状態でした。現在は一転し、女子ゴルフは目を見張る盛り上がりを見せています。女子のほうがプレースタイルが一般のゴルファーに近いので、その点が受け入れられている理由かもしれません。勢いがあると、主催者はトーナメントに対してお金をかけるようになるので、男子ゴルフ、女子ゴルフの仮設物や告知のサイン、ギャラリースタンドも変化を感じています。
─直近の話をお聞きします。2020年からは厳しい時期だったと思います
2020年から2022年までのダメージは甚大で、全体の売上は8割減。2割の状態でこの3年間過ごしてきたわけです。大変でしたが、誰一人辞めさせることなく事業を継続できました。
─厳しい状況下でも社員をつなぎとめることができたと
コロナ禍が始まった当初、大幅な売上ダウンと今後の見通しを全社員に向けて報告しました。そこで強調したのは、絶対にイベントは戻ってくるということ、そして会社として誰一人見捨てないということでした。先行きが暗いなかで、仕事を続けるか不安だったと思いますが、社員を信じて、正直な気持ちを伝えたこともあって、社員との絆が強くなったと思います。
経営に関わる立場としては部下・社員を信じることを信念としています。中小企業を支えるのは結局「人」ですから。
─ほかにも上田社長が仕事上、心掛けてきたことがあれば教えてください