『EventBiz』vol.27|特集② イベント管理システム23選
“イベントDX”をキーワードに、データの利活用に対する需要は今後も高まることが予想される。一方で、アプリケーションやプラットフォームの急増で、主催者は各サービスの特長・機能について整理が追い付かない状況にある。そこで本特集では、データ収集機能を備えたイベント管理サービスをその特長や機能とともに紹介する。
数あるイベント管理システムから最適なものを選ぶために、主催者が意識すべきことは何だろうか。「機能や価格だけを見て選定すると、期待した効果が生まれない」。そう指摘する PKB ソリューションの代表取締役・山本浩史氏はイベント管理システムの提供にとどまらず企画からイベントに関わってきた立場として、システム選定のポイントを解説する。
[Contents]
企画の視点からシステムを提案
─イベントのどのような面を支援してきましたか
企画と集客の面です。なかでもスタンプラリー機能を用いた仕掛けや企画は得意で、リアルの場の人を動かすような、集客や回遊性が求められるイベントをサポートしてきました。
当社の特長は IT 会社としてではなく、企画会社としてイベント管理システムを提供している点です。面白いイベントほど、企画は使いまわさずに常に新しい試みが行われています。全く同じものが存在しないことがイベントの魅力ですが、管理の視点では既存のプラットフォームに当てはまらないケースが多いのも事実なので、企画からイベントに関わり、必要であれば管理システムに企画で役立つ機能を付加するという姿勢でサービスを提供しています。企画から提案するニーズは高く、リピート率は60%ほど。「他社のサービスでは対応できなかった」という主催者から問い合わせをいただくことが多いです。
─イベント管理システムの導入を検討するうえでのポイントなどがあれば教えてください
初めての方はまず使ってみましょう。安価で試すことができるサービスも多く出ているので、イベント管理システムがどのようなものか、知ることが大事です。使っているとイベントへの相性などから、イベント管理システムに求めることやこだわりが出てくると思います。本格的に導入を考える段階になったら、サービスを選ぶ前にイベントの目的を再確認・明確にしてください。企画は参加者のモチベーションに直結しますから、漠然とした企画のまま管理システムを選んでしまうと、イベントの効果が薄れてしまう恐れがあります。企画を考えることは簡単なことではないので、難しければ代理店などイベント企画の専門家に相談すると良いでしょう。
イベントは目的達成の手段で、イベント管理システムはイベントや企画を成功させるためのツールです。目的や本質を見極めたら、目的達成のためにどのような企画が有効で、デジタル活用が企画にどのようなメリットをもたらすのかを明確にして、必要な機能を持つサービスを選定・導入を検討していきましょう。当社は企画の視点からアドバイスできるようにしています。企画チームが目的をヒアリングして最適な企画を提案します。まったくアイデアが浮かばないという主催者向けにさまざまなモバイルプロモーションの100事例をまとめた企画書事例集も用意しています。
セキュリティ面や不正防止の重要性
─イベント管理システムの数は日々増えています。機能以外で選定時に気を付けるべきことなどはありますか
セキュリティ面を確認すべきだと思います。個人情報の管理を徹底しているサービスは、サービス環境の提示や機密情報管理状況、プライバシーマークや ISMS 認証の取得に関する情報を提示できますので問い合わせてみると良いでしょう。
また不正防止の仕組みのニーズも増えています。当社が得意とするスタンプラリー企画では、昨今は位置情報を偽装したり、QRコードをスクリーンショットで使いまわしたりと、現地に訪問せず特典を受け取る不正も目立つようになってきました。特典が高価な企画もあるので、不正に対して訴訟を視野に入れて動く主催者も少なくありません。余計な手間がかかってしまいますし、参加者の楽しみを半減させることにつながるので、そもそも不正が発生しない仕掛けが必要なのです。当社は今夏、ワンタイムユニーク URL を発行する小型端末「CocodePit(ココデピット)」を販売開始予定です。物理的に近い距離でタッチしないと認証できなくなるため、キャンペーンに“安心・安全”の付加価値を提供します。
検証・改善されイベントの質が向上
─データ管理が進むことで、イベントはどのように変化していくでしょうか
イベントは一般的なマーケティングのように比較・検証しづらい点がネックでしたが、管理システムが普及しつつある今は「イベント参加者」など共通の属性を基準に、管理していくフェーズに入ったと思います。単発と考えられていたイベントは、PDCA を回すための継続したステップの一つとなります。イベント管理システムが増加していることも、主催者が結果やデータ活用の重要性を認識した表れと言えます。今後のイベントは正しく検証・改善され、イベントの効果や質が向上していくでしょう。
われわれもイベントの質向上を企画と管理システムから支える立場として、新たに LINE 上のキャンペーンの実施と横断管理ができるサービス「L-Collect(エルコレクト)」をこの春から提供しています。継続利用や追跡管理が他のプラットフォームより期待できる LINEの特性を活かして既存ファンの離脱を防ぎ、新規ファン獲得も図ることができます。
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管理システムの登場で、一層の成長が期待されるリアルイベント。2年間の行動制限を経た今、昇華と復活を狙う主催者がどのように活用していくのか、注目は続く。